退職前にやることチェックリスト|在職中でなければできないこと
退職の準備というと、引き継ぎと挨拶を思い浮かべる人が多いのですが、本当に取り返しがつかないのは別のところです。
退職日を過ぎると、就業規則は見られなくなり、有給は消え、社内システムの記録にも触れなくなります。在職中でなければできないことを先に済ませる。これがこのチェックリストの軸です。
時系列で進め方を知りたい場合は退職までのタイムラインを、退職後の手続きは退職後にやることリストを参照してください。この記事は退職日より前だけを扱います。
1. 確認する(退職日を決める前に)
ここを飛ばして退職日を決めると、後から取り返せません。最初にやってください。
- 就業規則を読む -- 退職の申し出時期、退職金規程の有無、休職制度、競業避止に関する定め。どこで見られるか
- 労働条件通知書を確認する -- 契約期間の定めの有無で、辞め方のルールが変わります。確認する
- 有給の残日数を確認する -- 退職日を決める前に必須。確認する方法
- 退職金の支給要件を確認する -- 勤続年数の区切りで金額が変わる規程があります。退職金の相場
- 賞与の支給日在籍要件を確認する -- 退職日が数日違うだけで受け取れるかが変わります。もらってから退職する方法
- 企業型確定拠出年金や財形貯蓄の有無を確認する -- 移換や解約の手続きに期限があります。企業型確定拠出年金の移換/財形貯蓄
有給を先に確認する理由を補足しておきます。会社には時季変更権がありますが、退職日より後の日に変更することはできません。だからこそ、残日数を把握したうえで退職日を決める順番になります。逆にすると、消化しきれない形が生まれます。
2. 在職中に済ませる(後からでは条件が変わるもの)
これらは退職後でもできますが、在職中のほうが有利、あるいは通りやすいものです。
3. 記録を残す(退職後は取れなくなるもの)
退職後に必要になったとき、社内の資料には二度と触れられません。該当する場合だけで構いませんが、残すなら在職中です。
- 未払い残業代がある場合、勤怠の記録を確保する -- 退職後でも一定期間は請求できますが、証拠は在職中のほうが集めやすくなります。請求できる期間
- ハラスメントがあった場合、日時と内容を記録する -- 失業給付の離職理由の判断でも資料になります。証拠の残し方/特定受給資格者の範囲
- 給与明細を保管する -- 失業給付の額や、離職票の記載内容を照合するときに使います
- 職務経歴を書き出しておく -- 担当した案件、規模、期間。記憶が新しいうちのほうが正確です
なお、会社のデータを持ち出すことには制約があります。自分の勤怠や給与に関する記録と、業務上の資料は分けて考えてください。
4. 伝える、引き継ぐ
順番を守ることが、揉めないための最大の要素です。
- 直属の上司に口頭で伝える(書類より先)。言い出せないとき
- 退職日を相談して決める。出すタイミング
- 退職届を出す。退職届と退職願の違い
- 引き継ぎ資料を作る -- 担当業務の一覧、手順、関係先の連絡先、進行中の案件の状況。引き継ぎ完全ガイド
- 有給を消化する。退職時の有給消化
- 挨拶をする。挨拶の例文・最終日のマナー
5. 最終日に返すもの、受け取るもの
| 返すもの | 受け取るもの |
|---|---|
| 健康保険証(退職日当日または翌日) | 雇用保険被保険者証 |
| 社員証・入館証 | 年金手帳・基礎年金番号通知書(預けている場合) |
| 会社支給のパソコン・携帯電話 | 源泉徴収票(退職後に届くのが通常) |
| 制服・作業着、名刺 | 離職票(失業給付を受ける場合、退職後に発行) |
| 業務に関する資料やデータ | 健康保険資格喪失証明書 |
離職票と源泉徴収票は退職後に届くため、最終日には受け取れません。いつ頃届くかと、届かない場合の連絡先を、最終日までに確認しておいてください。これらが届かないと、失業給付の申請も確定申告も止まります。
また、退職の事実や在籍期間を証明する退職証明書は、請求すれば会社に交付義務があります。転職先から求められることがあるので、必要なら在職中に依頼しておくと確実です。
退職時に会社から受け取る書類と期限/離職票が届かないときの対処/源泉徴収票がもらえないとき/退職証明書/貸与品の返却と給与天引きの可否
6. 退職後の準備を、退職前にしておく
退職日の翌日から手続きの期限が動き始めます。何をいつまでにやるかを、先に把握しておいてください。
- 健康保険をどうするか決めておく -- 任意継続(退職日の翌日から20日以内)、国民健康保険、家族の扶養の3択。3択の比較
- 国民年金の切替 -- 退職日の翌日から14日以内。切替の手続き
- 住民税の扱いを確認する -- 転職先が決まっているなら特別徴収を引き継げます。退職後の住民税
- 生活費の見通しを立てる -- 入る日と出る日を並べます。必要な貯金はいくらか
- 失業給付の見込みを確認する -- 離職理由で給付制限の有無が変わります。給付制限期間
よくある質問
Q. 退職前に必ず確認しておくべきことは何ですか?
就業規則(退職の申し出時期、退職金規程、休職制度の有無)、労働条件通知書、有給休暇の残日数の3つです。これらは退職日を決める前に確認する必要があります。とくに有給は、会社の時季変更権が退職日より後の日には行使できないため、残日数を把握してから退職日を決める順番になります。退職日を先に決めてしまうと、消化しきれない形になることがあります。
Q. 退職前にやっておくと得をすることはありますか?
健康診断や歯科の治療など、健康保険が切り替わる前に済ませておくとよいものがあります。また、住宅ローンやクレジットカードの申込み、賃貸契約など審査を伴う手続きは、実務上は在職中のほうが進めやすいのが一般的です。賞与の支給日在籍要件や退職金の勤続年数の区切りも、退職日を数週間ずらすだけで結果が変わることがあるため、先に規程を確認してください。
Q. 退職時に会社から受け取る書類には何がありますか?
雇用保険被保険者証、年金手帳または基礎年金番号通知書(会社が預かっている場合)、源泉徴収票、離職票(失業給付を受ける場合)、健康保険資格喪失証明書などです。離職票は退職後に発行されるため受け取りまで日数がかかり、源泉徴収票も退職後に届くのが通常です。受け取れていないものがあると手続きが止まるため、何がいつ届くかを退職前に確認しておくと安全です。