教育訓練給付金の種類と受給要件
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講して修了したときに、 支払った費用の一部が支給される制度です。 転職に向けて資格を取る場合に使えますが、離職してから受講を始めるまでの期間に制限があります。 退職を考えている段階で内容を知っておくと選択肢が広がります。
このページで参照している法令・公式情報
- 雇用保険法60条の2(教育訓練給付金)
- 厚生労働省 教育訓練給付金
- 厚生労働省 令和6年10月から教育訓練給付金を拡充します
- ハローワーク 教育訓練給付金
3種類の給付金と支給率
| 訓練の種類 | 基本 | 資格取得・就職時 | 賃金上昇時 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20%(上限10万円) | — | — |
| 特定一般教育訓練 | 40%(上限20万円) | 50%(上限25万円) | — |
| 専門実践教育訓練 | 50%(年間上限40万円) | 70%(年間上限56万円) | 80%(年間上限64万円) |
出典:厚生労働省・ハローワークの案内。支給率は教育訓練経費に対する割合です。
上乗せの条件は、資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合です。専門実践教育訓練ではさらに、 訓練修了後の賃金が受講開始前と比べて5%以上上昇した場合に80%まで上がります。 いずれも既に支給を受けた額との差額が追加で支給される仕組みです。
雇用保険法60条の2第4項は、給付金の額について 教育訓練の受講のために支払った費用の額に100分の20以上100分の80以下の範囲内で 厚生労働省令で定める率を乗じて得た額とすると定めています。 条文上の上限が80%であり、専門実践の80%はその上限にあたります。
支給要件期間は原則3年以上
雇用保険法60条の2第1項は、支給要件期間が3年以上であるときに支給するとしています。 支給要件期間とは、基準日(教育訓練を開始した日)までの間に 同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者として雇用された期間で、 それ以前に被保険者であったことがある場合は通算した期間です。
ただし同条2項は、次の期間を除いて算定するとしています。
- ・被保険者となった日の直前の被保険者でなくなった日が、被保険者となった日前1年の期間内にないときは、 その直前の被保険者でなくなった日前の被保険者であった期間
- ・基準日前に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときは、 当該給付金に係る基準日前の被保険者であった期間
初めて教育訓練給付金の支給を受ける場合には要件が緩和される特例があり、 必要な期間は訓練の種類によって異なります。自分が要件を満たすかどうかは、受講を申し込む前にハローワークで確認してください。
離職後は「1年以内」に受講を開始する
退職した後に利用する場合、雇用保険法60条の2第1項2号は、 基準日が直前に一般被保険者または高年齢被保険者でなくなった日から厚生労働省令で定める期間内にあることを要件としています。 ハローワークの案内では、資格喪失日(離職日の翌日)以降、 受講開始日までが1年以内であることが必要とされています。
失業保険の受給期間も離職の日の翌日から1年、 被保険者であった期間の通算も空白1年以内が条件です。退職後の制度はいずれも1年で区切られていると覚えておくと、期限の管理がしやすくなります。
期限の全体像は離職期間・ブランクの説明にまとめています。
対象になる訓練の探し方
対象となるのは厚生労働大臣が指定する教育訓練に限られます。 指定講座は厚生労働省の教育訓練給付制度の検索システムで確認できます。 受講したい講座が指定を受けているかどうかは、申込みの前に必ず確認してください。
なお、支給の対象になるのは修了した場合です。 雇用保険法60条の2第1項は、指定する教育訓練を受け当該教育訓練を修了した場合(受けている場合で厚生労働省令で定める場合を含む)に支給するとしています。
他の訓練制度との違い
| 制度 | 受講の経路 | 給付の性質 |
|---|---|---|
| 教育訓練給付金 | 自分で指定講座を選んで受講 | 受講費用の一部を支給 |
| 公共職業訓練 | 公共職業安定所長の指示により受講 | 訓練期間中は訓練延長給付の対象になり得る |
| 短期訓練受講費 | ハローワークの職業指導により1か月未満の訓練を受講 | 経費の2割(上限10万円) |
公共職業訓練による給付の延長は転職活動が長引いたとき、短期訓練受講費は広域求職活動費・移転費・求職活動支援費で解説しています。
よくある質問
Q. 教育訓練を受けると給付制限が解除されると聞きました。
自己都合退職による給付制限について、教育訓練を受講した場合に解除される取扱いがあります。詳しくは失業保険の給付制限をご覧ください。
Q. 在職中でも使えますか?
使えます。雇用保険法60条の2第1項1号は、基準日に一般被保険者または高年齢被保険者である者を 対象に含めています。在職中に受講を始めておけば、 離職後1年以内という制限を気にせずに済みます。
Q. 支給額が少額の場合はどうなりますか?
雇用保険法60条の2第5項は、算定された額が厚生労働省令で定める額を超えないときは 教育訓練給付金を支給しないとしています。 下限額が設けられているため、受講費用が少額の場合は対象外になることがあります。