退職してから転職活動をするときのリスクと備え
退職してから探すほうが時間は自由になりますが、収入が止まるのは退職の翌日から、 失業保険が入るのはずっと先という時間差があります。 しかも保険料や住民税の負担はすぐに始まります。 この差を把握しておくと、活動できる期間を現実的に見積もれます。
このページで参照している法令・公式情報
- 雇用保険法20条(支給の期間及び日数)
- 国民健康保険法7条(資格取得の時期)
- 日本年金機構 国民年金保険料
- 厚生労働省 国民健康保険の加入・脱退について
退職後の時間の流れ
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 退職日の翌日 | 健康保険の資格喪失。国民健康保険の資格を取得(国民健康保険法7条) |
| 14日以内 | 国民健康保険の加入届、国民年金の種別変更の届出 |
| 20日以内 | 任意継続を選ぶ場合の申請期限 |
| 退職から2週間前後 | 離職票が届く(会社は10日以内に資格喪失届を提出) |
| 離職票が届いたら | ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定 |
| 受給資格決定から7日間 | 待期期間。この間は支給されない |
| 待期期間の後 | 自己都合退職は給付制限(原則1か月)。会社都合は制限なし |
退職してから最初の振込までに、離職票の到着・待期7日・給付制限という 3つの段階があります。自己都合退職の場合、令和7年4月1日以降の離職では 給付制限が原則1か月に短縮されましたが、それでも即座に入るわけではありません。
給付制限の詳細は失業保険の給付制限、離職票が届かない場合は離職票が届かないときの対処法をご覧ください。
すぐ始まる支出
| 項目 | 金額の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 国民年金保険料 | 月17,920円(令和8年度) | 全国一律。保険料の納付が困難な場合は免除・納付猶予の申請ができる |
| 国民健康保険料 | 前年の所得と市区町村の料率で決まる | 退職直後は前年の所得が高いままのため想定より高くなりやすい |
| 任意継続の保険料 | 前職の標準報酬月額に基づく | 在職中は会社と折半していた分を全額負担する。退職日の翌日から20日以内に申請 |
| 住民税 | 前年の所得に対する税額 | 普通徴収は年4回の分割。1回あたりの金額が大きくなる |
国民健康保険料と住民税は前年の所得に基づいて計算されます。 退職して収入がなくなっても、前年に働いていた分の負担が来るため、 退職直後は支出が想定より重くなりがちです。 金額は市区町村の窓口で試算してもらえます。
健康保険の選び方は退職後の健康保険の選び方、年金の切替は国民年金への切り替え手続き、住民税は退職後の住民税で解説しています。
受け取れる額を先に把握する
基本手当の日額と所定給付日数は、年齢・退職理由・被保険者であった期間・ 離職前6か月の賃金で決まります。実際にいくら受け取れるかを退職前に確認しておくと、 活動できる期間の見通しが立ちます。
受給期間の1年に注意する
雇用保険法20条1項1号は、基本手当の受給期間を離職の日の翌日から起算して1年と定めています。 所定給付日数が残っていても、この期間を過ぎると支給されません。
病気やけが、妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上職業に就くことができない場合は、 申し出により受給期間を延長できます。加算された期間が4年を超えるときは4年が上限です。
延長の手続きは失業保険の受給期間延長、活動が長引いた場合の対応は転職活動が長引いたときをご覧ください。
退職前に確認しておくこと
- ・有給の残日数と、消化した場合の最終出社日・退職日
- ・退職金の有無と支給時期(就業規則・退職金規程)
- ・離職理由が自己都合か会社都合か(給付制限と給付日数に影響する)
- ・住民税の残額と、退職時期による徴収方法の違い
- ・教育訓練給付を使う予定があるか(支給要件期間は原則3年以上)
退職までの流れ全体は退職の完全ガイド、退職後の手続きは退職後にやることリストにまとめています。
よくある質問
Q. 受給中にアルバイトをしてもよいですか?
できますが必ず申告が必要です。1日4時間以上か未満かで扱いが変わり、 週20時間以上は就職とみなされます。詳しくは失業保険の受給中のアルバイトをご覧ください。
Q. 早く就職先が決まったら損をしますか?
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っているなど要件を満たせば、 再就職手当が支給されます。詳しくは再就職手当はいくら?をご覧ください。
Q. 国民年金の保険料が払えない場合は?
失業を理由とする保険料の免除・納付猶予の制度があります。 未納のままにすると将来の年金額や障害年金の受給に影響するため、 市区町村の国民年金窓口または年金事務所に相談してください。