在職中に転職活動を進める方法
在職中の転職活動で問題になるのは、面接の時間をどう確保するかと退職をいつ切り出すかの2点です。 どちらも法律上の権利と就業規則の定めを踏まえれば、判断の基準がはっきりします。
このページで参照している法令・公式情報
- 労働基準法39条(年次有給休暇)
- 民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
- ハローワーク 履歴書・職務経歴書の書き方(応募書類の作り方・PDF)
在職中と退職後の違い
| 観点 | 在職中に進める | 退職してから進める |
|---|---|---|
| 収入 | 給与が続くため生活の見通しが立つ | 収入が途切れる。失業保険は手続き後、給付制限がある場合はさらに先 |
| 時間 | 面接の日程調整が難しい。平日日中の確保が課題 | 日程を自由に組める |
| 交渉 | 急ぐ必要がないため条件を吟味できる | 期間が延びるほど焦りが出やすい |
| 社会保険 | 手続きは不要(そのまま継続) | 国民健康保険・国民年金への切替が必要 |
| 入社日 | 引き継ぎと有給消化の分だけ先になる | 早く入社できる |
退職してから進める場合の備えは退職してから転職活動をするときのリスクと備えで解説しています。
有給休暇は理由を問われない
労働基準法39条5項は、使用者は有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならないと定めています。取得にあたって理由を申告することは条件になっていません。
ただし同項ただし書は、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、 他の時季にこれを与えることができるとしています(時季変更権)。繁忙期に集中して申請すると、 日程を動かされる可能性があります。
労使協定がある場合は、時間を単位とする有給休暇を 年5日以内の範囲で取得できます(39条4項)。 半日単位の取得を認めている会社もあるため、就業規則を確認してください。 面接1件のために1日を使わずに済みます。
有給の日数は継続勤務年数によって決まります。詳しくは退職時の有給消化をご覧ください。
応募書類での在職中の扱い
ハローワークの「応募書類の作り方」は、在職者の場合、連絡先欄に現在の勤務先を記載することは適当でないとしています。日中に連絡が取れない事情は本人希望記載欄で伝える方法が示されています。
本人希望記載欄の記載例(パンフレットより)
「在職中のため、勤務中は電話に出られない場合もあります。 その場合は留守番電話に伝言いただければ、折り返しご連絡差し上げます。 なお、採用いただけたならば○月○日以降いつでも出社可能です。」
職歴欄には、最後の行に「現在に至る」と記載します。 退職日が決まっている場合は「現在に至る(令和○年○月末退職予定)」、 契約期間の満了が見込まれる場合は「現在に至る(令和○年○月末契約期間満了見込)」 という書き方が示されています。
職歴欄の書き方全体は履歴書の退職理由の書き方にまとめています。
進め方の手順
1. 就業規則を確認する
退職の申出期限、有給の残日数、副業・競業に関する定めを先に確認しておく
2. 応募先を絞る
面接の回数だけ時間が必要になるため、数を広げすぎると日程が組めなくなる
3. 面接日程を確保する
有給、半休、時間単位年休(労使協定がある場合)を組み合わせる
4. 内定と条件を確定させる
労働条件通知書を書面で受け取り、賃金・労働時間・就業場所と業務の変更の範囲を確認する
5. 退職を申し出る
条件が確定してから伝える。引き継ぎと有給消化の期間を見て入社日を調整する
退職を切り出す時期
民法627条1項により、期間の定めのない雇用契約では 解約の申入れの日から2週間を経過することで契約は終了します。 ただし就業規則で1か月前などと定めている会社が多く、 引き継ぎと有給消化を考えると余裕をもって申し出るほうが現実的です。
重要なのは順序です。内定と労働条件が確定してから退職を伝えるのが原則で、 確定前に伝えてしまうと、退職だけが決まって次が白紙になるおそれがあります。
2週間ルールの詳細は民法627条の2週間ルール、伝えるタイミングは退職届を出すタイミング、内定後の進め方は転職先が決まってからの退職届の出し方をご覧ください。
引き止めへの備え
在職中に転職先が決まっている場合、引き止めを受けても 入社日という動かしにくい予定があります。 条件を提示されて残る選択をする場合は、 提示された内容が書面で確認できるかを見てください。
対処法は退職の引き止めを断る方法、退職届を受理してもらえない場合は退職届が受理されない場合の対処法で解説しています。
よくある質問
Q. 転職活動をしていることが会社に知られますか?
応募先が現在の勤務先に問い合わせる行為は、 厚生労働省が挙げる採用選考時に配慮すべき14事項のうち「身元調査などの実施」にあたります。 また職業安定法5条の5により、求職者等の個人情報は業務の目的の達成に必要な範囲内で 取り扱うこととされています。
Q. 有給を使い切ってから退職できますか?
退職日までの間であれば取得できます。ただし退職日を超えて繰り越すことはできません。 引き継ぎとの兼ね合いがあるため、退職の申し出と同時に消化の計画を伝えるのが実務的です。 逆算の考え方は退職日・有給消化の逆算シミュレーターで確認できます。
Q. 在職中に内定が出たら失業保険はどうなりますか?
次の就職先が決まっている場合、失業の状態にあたらないため基本手当は受け取れません。 なお、離職票の交付を辞退することもできますが、 予定が変わる可能性を考えると受け取っておくほうが安全です。詳しくは転職先が決まっていても離職票は必要かをご覧ください。