源泉徴収票がもらえないとき
退職したのに源泉徴収票が届かないと、転職先の年末調整も確定申告も進められません。 この書類の交付は会社の任意ではなく所得税法が定めた義務で、 期限も条文に書かれています。 そして交付されない場合に備えた手続きが、国税庁に用意されています。
このページで参照している法令・資料
- 所得税法226条1項・2項・4項(源泉徴収票)
- 国税庁 F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続
交付期限は条文に書かれている
所得税法226条1項は、給与等の支払をする者は源泉徴収票2通を作成し、その年の翌年1月31日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後1月以内)に、 1通を税務署長に提出し、他の1通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならないと定めています。
| 対象 | 交付期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 給与の源泉徴収票(年の中途で退職した場合) | 退職の日以後1か月以内 | 所得税法226条1項 |
| 給与の源泉徴収票(上記以外) | 翌年1月31日まで | 所得税法226条1項 |
| 退職手当等の源泉徴収票 | 退職の日以後1か月以内 | 所得税法226条2項 |
退職金を受け取った場合の源泉徴収票も、226条2項により退職の日以後1か月以内です。 給与の分と退職手当の分は別の書類なので、両方を受け取ることになります。
なお226条4項により、支払を受ける者の承諾を得れば電磁的方法での提供も認められています。 ただし同項ただし書は、支払を受ける者の請求があるときは源泉徴収票を交付しなければならないと定めています。 紙で必要な場合は、そう伝えれば交付を受けられます。
まず会社に請求し、記録を残す
期限を過ぎても届かない場合は、会社に交付を求めます。 このときやり取りが残る方法で行ってください。 後述する税務署への届出で、交付を求めたことが分かる書類が添付書類とされているためです。
- メールで請求し、送信済みのものを保存しておく
- 電話で伝えた場合も、日時と相手の氏名、回答内容をメモに残す
- 連絡がつかない場合は、配達の記録が残る方法で書面を送る
退職代行を利用した場合の書類の届き方は退職代行を使った後の書類で解説しています。
税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出す
それでも交付されない場合は、源泉徴収票不交付の届出書を所轄の税務署長に提出できます。 国税庁の手続案内 F5-4 に手順が示されています。
| 手続の名称 | 源泉徴収票不交付の届出手続(国税庁 手続案内 F5-4) |
| 手続根拠 | 所得税法226条 |
| 手続対象者 | 源泉徴収票を交付されなかった受給者 |
| 提出時期 | 源泉徴収票の交付期限を経過後、随時提出できる |
| 提出先 | 納税地等を所轄する税務署長 |
| 作成・提出方法 | e-Taxソフトで作成・提出するほか、書面で作成して持参または送付することもできる |
添付書類
- 給与支払明細書が保存されている場合は、給与支払明細書の写し
- 勤務先に対して、源泉徴収票の交付を求めたことが分かる書類等
国税庁の案内には、届出書の作成・提出前に確認すべきフローチャートと留意事項をまとめた資料が用意されています。 様式・記載例とあわせて手続案内のページから確認してください。 提出先の税務署は国税庁の組織案内で調べられます。
紛失した場合はこの手続の対象外です。国税庁の案内は「既に交付された源泉徴収票の再発行については、この手続の対象外です」と明記しています。 なくした場合は勤務先に再発行を依頼してください。
届かない間にできること
源泉徴収票が手元にそろうのを待っている間も、期限のある手続きは進みます。
転職先の年末調整に間に合わない場合
前職の源泉徴収票が間に合わないと、転職先では前職分を含めた年末調整ができません。 その場合は自分で確定申告することになります。詳しくは転職先での年末調整をご覧ください。
給与明細を集めておく
支払われた給与額と源泉徴収された税額を把握しておくと、 届出書の記載や、その後の申告の準備が進めやすくなります。 給与明細は届出書の添付書類にもなります。
他の書類が届いているかも確認する
退職時に会社から受け取る書類は源泉徴収票だけではありません。 離職票、雇用保険被保険者証、健康保険資格喪失証明書がそろっているかを確認してください。 一覧は転職先に提出する書類一覧にまとめています。
よくある質問
Q. 会社が倒産した場合はどうなりますか?
破産管財人が選任されている場合は、そちらが対応することがあります。 連絡先が分からない、対応が得られないという場合も、 源泉徴収票不交付の届出書は提出できます。 未払いの賃金がある場合は未払賃金立替払制度についてもあわせて確認してください。
Q. 届出書を出すと会社に連絡がいきますか?
届出は税務署に対して行うもので、その後の対応は税務署が判断します。 手続案内には、届出を受けた後にどのような処理が行われるかまでは記載されていません。 届出書の記載事項や進め方について不明な点は、 提出先となる所轄の税務署に直接確認してください。
Q. 退職金の源泉徴収票も同じように請求できますか?
所得税法226条2項が退職手当等の源泉徴収票について定めており、 交付期限は退職の日以後1か月以内です。 なお「退職所得の受給に関する申告書」を提出していたかどうかで 源泉徴収される税額が変わります。詳しくは「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと20.42%引かれるをご覧ください。