転職先での年末調整
年の途中で転職した場合、その年の所得税は前職と転職先の給与を合算して精算します。 精算の場は年末時点で勤務している転職先の年末調整で、そこに前職の源泉徴収票を提出することになります。 源泉徴収票が間に合わなければ年末調整はできず、自分で確定申告することになります。
このページで参照している公式情報
- 国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整(令和7年4月1日現在法令等/所法190、194、所令311、所基通190-2)
- 国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき(令和7年4月1日現在法令等)
なぜ前職の分をまとめる必要があるのか
所得税は1年間の所得の合計に対してかかります。ところが毎月の給与から引かれる源泉徴収税額は、その勤務先だけで1年間働き続ける前提の概算です。 転職して給与の支払者が変われば、その概算と実際の税額はずれます。 このずれを年末に埋めるのが年末調整です。
国税庁は、ほかの会社などから支払を受けた給与がある人についてはそれらの給与を含めて年末調整を行う必要があるとしています。 前職の給与の金額やそこから徴収された所得税・社会保険料の額は、 前職から交付を受けた源泉徴収票で確認します。
年末調整の対象になる人
国税庁は12月に行う年末調整の対象となる人を、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人としています。年の途中で転職した人は後者にあたるため、転職先で年末調整を受けます。
ただし、次のいずれかに当てはまる人は対象外です。
- ・その年の給与の総額が2,000万円を超える人
- ・災害減免法により、その年の給与に対する源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
前者に該当する場合は、年末調整ではなく確定申告で精算します。
年末時点の状況ごとの精算方法
| 年末時点の状況 | 精算の方法 | 補足 |
|---|---|---|
| 年内に転職し、年末も転職先に在職している | 転職先で年末調整 | 前職の源泉徴収票を転職先に提出する。提出できないときは確定申告 |
| 年内に退職し、年末時点で就職していない | 自分で確定申告 | 源泉徴収税額が納め過ぎになっていることが多く、還付を受けられる場合がある |
| 12月の給与を受け取ってから退職した | 前職で年の中途の年末調整 | 国税庁が挙げる「年の中途で年末調整を行う人」の一つ |
| 退職後、同じ年内に自営業を始めた | 自分で確定申告 | 給与所得と事業所得を合わせて申告する |
源泉徴収票が間に合わないと確定申告になる
国税庁は、前職の給与の金額や源泉徴収税額などの確認ができないときは年末調整を行うことはできず、その人が確定申告により所得税及び復興特別所得税の精算を行うことになると明記しています。
間に合わなかったこと自体で税金が増えるわけではありません。 年末調整でも確定申告でも、最終的に納める税額は同じです。 違うのは手続きを会社がやるか自分がやるかと、 還付を受け取る時期だけです。
源泉徴収票は最終給与の額が確定してからでないと作成できないため、 退職日当日には受け取れません。12月に近い時期の転職では年末調整に間に合わないこともあります。 届かない場合はまず前職に催促し、それでも入手できないときは確定申告に切り替えてください。
年内に再就職しなかった場合
年の途中で退職してそのまま再就職しなかった場合は年末調整を受けられないため、所得税及び復興特別所得税が納め過ぎとなっている場合があります。 毎月の源泉徴収が1年間働き続ける前提で計算されているため、 働いた月数が少ないほど納め過ぎになりやすくなります。
この場合は確定申告で精算します。還付を受けるための申告は、中途退職した年の翌年以降5年以内であれば行えます。 確定申告の期間を過ぎてしまっても、5年以内であれば手続きできます。
退職後に転職活動を続ける場合の生活設計は退職してから転職活動をするときのリスクと備えで解説しています。
社会保険料と生命保険料の扱い
退職してから転職までの間に自分で払った国民健康保険料・国民年金保険料も、 社会保険料控除の対象になります。これらは前職の源泉徴収票には載らないため、年末調整の際に自分で申告する必要があります。
生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)も同様に、 転職先の年末調整で申告します。控除証明書は秋ごろに郵送されてくるので、 転職した年は特に紛失しないよう保管してください。
退職後に自分で加入する健康保険の選択肢は退職後の健康保険の選び方、年金の切り替えは国民年金への切り替え手続きをご覧ください。
よくある質問
Q. 退職金の分も転職先の年末調整に含めるのですか?
含めません。退職金は給与所得ではなく退職所得として分離して課税されるため、 年末調整の対象外です。「退職所得の受給に関する申告書」を退職時に提出していれば、 原則としてそれで課税関係は完了します。詳しくは退職金と確定申告をご覧ください。
Q. 同じ年に2回転職した場合はどうなりますか?
その年に受け取ったすべての給与を合算するため、 1社目と2社目の両方の源泉徴収票を最後の勤務先に提出します。 いずれか一方でも確認できなければ年末調整はできず、確定申告での精算になります。
Q. 年末調整の書類はいつ提出しますか?
会社によりますが、11月ごろに配られ11月末から12月初旬までに回収されるのが一般的です。 提出期限は法律ではなく各社の事務スケジュールで決まっているため、 転職先の案内に従ってください。期限に間に合わなかった場合も確定申告で精算できます。