退職金と確定申告
退職金そのものは、原則として確定申告が要りません。勤務先が税額を計算して源泉徴収した時点で 課税関係が終わるためです。ただし申告すれば税金が戻ってくるケースがいくつかあります。 とくに年の途中で退職して再就職していない場合は、申告しないと納めすぎのままになります。
まず結論:申告が要るか要らないかの判断
| 状況 | 確定申告 |
|---|---|
| 申告書を提出し、年内に転職して年末調整を受けた | 原則不要 |
| 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない | した方がよい(還付) |
| 年の途中で退職し、年内に再就職しなかった | した方がよい(還付) |
| 医療費控除・寄附金控除などを受けたい | する(退職所得の記載が必要) |
申告書を出していれば退職金は申告不要
「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していれば、退職所得控除と2分の1の計算を 反映した正しい税額が源泉徴収されます。国税庁も「原則として確定申告は必要ありません」としています。
出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」[令和7年4月1日現在法令等]
ケース1:申告書を出していない
申告書を提出しなかった場合、退職所得控除が適用されず支給額の20.42%が源泉徴収されています。 本来は税額0円だったケースでも引かれているため、確定申告で精算すれば還付されます。
仕組みの詳細は「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと20.42%引かれるで解説しています。
ケース2:年の途中で退職して再就職しなかった
毎月の給与から源泉徴収される所得税は、1年間働き続ける前提で計算された概算額です。 年の途中で退職して年末調整を受けていないと、この概算のまま精算されずに終わります。
働いていない期間があれば年収は見込みより下がるので、 源泉徴収税額は納めすぎになっているのが通常です。還付申告をすれば戻ります。
戻る可能性が高い人
- 年の途中で退職し、年内に再就職しなかった
- 退職後に国民健康保険や国民年金の保険料を自分で払った(社会保険料控除)
- 生命保険料・地震保険料を払っている(年末調整で申告していない分)
- iDeCoの掛金を払っている(小規模企業共済等掛金控除)
退職後に自分で払った国民健康保険料・国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象です。 この分は年末調整では処理されていないので、申告して初めて反映されます。
出典:国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」
ケース3:医療費控除などを受ける
医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を使わない場合など)を受けるために 確定申告をするときは、申告書に退職所得の金額を記載する必要があります。 退職金があることを書かずに提出しないよう注意してください。
退職所得は分離課税なので、記載しても給与所得などの税率が上がることはありません。
還付申告は5年さかのぼれる
還付を受けるための申告は、確定申告の期間(2月16日から3月15日)と関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。 退職した年の翌年以降5年以内であれば、いま気づいた分でも間に合います。
出典:国税庁「No.2030 還付申告」
申告に必要なもの
- 給与所得の源泉徴収票(退職した勤務先から交付されます)
- 退職所得の源泉徴収票
- 国民健康保険料・国民年金保険料の支払額がわかるもの
- 生命保険料控除証明書など
- マイナンバーカードなど本人確認書類・還付金の振込先口座
源泉徴収票が届かない場合は、まず勤務先に請求してください。 離職票と違ってハローワークでは代替できません。
退職金の税額を先に把握しておく
源泉徴収された額が妥当かどうかを確かめるには、本来の税額を知っておく必要があります。