労働条件通知書を確認する
就業規則は10人未満の事業場には作成義務がありませんが、労働条件の明示は事業場の人数にかかわらず必要です。 手元にある労働条件通知書や労働契約書は、 自分の労働条件を確認できるもっとも確実な資料になります。 退職の準備を始めるときは、就業規則とあわせてこれを開いてください。
このページは労働基準法15条と労働基準法施行規則5条の条文に基づいています。
書面で明示される6項目
労働基準法施行規則5条3項は、書面などによる明示が必要な事項を 同条1項1号から4号まで(昇給に関する事項を除く)としています。内訳は次のとおりです。
1号労働契約の期間に関する事項
期間の定めの有無。有期なら退職の考え方が変わります。
1号の2有期労働契約を更新する場合の基準
通算契約期間または更新回数に上限の定めがある場合は、その上限も含みます。
1号の3就業の場所および従事すべき業務
変更の範囲を含みます。転勤や職種変更がありうる範囲がここでわかります。
2号始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇など
所定労働時間を超える労働の有無、交替制の場合の就業時転換も含みます。
3号賃金の決定・計算・支払の方法、締切りと支払の時期
昇給に関する事項を除いて書面明示の対象です。最終給与の時期を判断する材料になります。
4号退職に関する事項(解雇の事由を含む)
退職の手続きや申出期限、解雇される場合の事由が書かれています。
明示の方法は書面の交付が原則ですが、労働者が希望した場合は ファクシミリまたは電子メール等の送信によることもできます (施行規則5条4項。電子メール等の場合は、労働者が記録を出力して書面を作成できるものに限られます)。
「変更の範囲」で転勤の可能性がわかる
施行規則5条1項1号の3は、就業の場所および従事すべき業務についてその変更の範囲を含むと定めています。 入社時点の配属先だけでなく、将来的に配置転換されうる範囲まで書かれているということです。
転勤を理由に退職を考えている場合、この欄の記載が交渉材料になります。 引越しを伴う異動については引越し・転居による退職届の書き方も参照してください。離職理由の扱いが変わることがあります。
条件が事実と違えば即時に解除できる
労働基準法15条2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は即時に労働契約を解除することができると定めています。2週間の予告期間を置く必要はありません。 さらに3項により、就業のために住居を変更した労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、 使用者は必要な旅費を負担しなければならないとされています。
聞いていた条件と違う、という理由で早期に辞める場合、この規定が根拠になります。 ただし相違があったことを示せる資料が必要なので、通知書は必ず保管しておいてください。 即日で辞める場合の考え方は即日退職はできる?にまとめています。
有期契約は更新の上限を確認する
施行規則5条1項1号の2は、有期労働契約を更新する場合の基準について、通算契約期間または更新回数に上限の定めがある場合には当該上限を含むとしています。
上限に達して契約が終わる場合と、更新を期待できる状況で更新されなかった場合とでは、 扱いが変わることがあります。有期契約の雇止めを参照してください。
見当たらないときの探し方
- ・入社時に受け取った書類一式(雇用契約書と一体になっていることがあります)
- ・社内システムの人事情報や電子契約サービスの保管領域
- ・人事・総務に再交付を依頼する
退職後に労働条件を証明する必要が出た場合は、退職証明書を請求する方法もあります。労働基準法22条1項により、請求すれば交付されます。
よくある質問
労働条件通知書をもらっていないのですが問題ありませんか?
労働基準法15条1項は、使用者は労働契約の締結に際し労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。そのうち一定の事項については、労働基準法施行規則5条4項により書面の交付による明示が必要です(労働者が希望した場合はファクシミリや電子メール等でも可)。交付されていない場合は会社に請求してください。事業場の労働者数にかかわらず必要です。
書面で明示しなければならないのはどの項目ですか?
労働基準法施行規則5条3項は、同条1項1号から4号までの事項(昇給に関する事項を除く)としています。具体的には、労働契約の期間、有期労働契約を更新する場合の基準、就業の場所および従事すべき業務(変更の範囲を含む)、始業終業時刻や休日休暇などの労働時間に関する事項、賃金の決定・計算・支払の方法と締切り・支払の時期、そして退職に関する事項(解雇の事由を含む)です。
通知書の内容と実際の労働条件が違う場合はどうなりますか?
労働基準法15条2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は即時に労働契約を解除することができると定めています。予告期間を置く必要はありません。さらに同条3項により、就業のために住居を変更した労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければならないとされています。また施行規則5条2項は、明示すべき労働条件を事実と異なるものとしてはならないと定めています。
「変更の範囲」とは何ですか?
労働基準法施行規則5条1項1号の3は、就業の場所および従事すべき業務に関する事項として「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む」としています。入社時点の勤務地や職務だけでなく、将来配置転換される可能性のある範囲まで明示する必要があるということです。転勤や職種変更がありうるのかを、この欄で確認できます。