特定受給資格者・特定理由離職者の範囲
失業保険の話で「会社都合か自己都合か」と言われますが、 制度上の区分は特定受給資格者と特定理由離職者です。 どちらかに当たると、受給資格の要件と所定給付日数が変わります。 ハローワークが公表している範囲を、条文と対応させて全項目掲載します。
このページで参照している法令・資料
- 雇用保険法13条1項〜3項(基本手当の受給資格)
- 雇用保険法23条1項・2項(特定受給資格者の所定給付日数・定義)
- ハローワーク 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
- ハローワーク 基本手当の所定給付日数
- ハローワーク 雇用保険の具体的な手続き
要件がどう変わるか
雇用保険法13条1項は、基本手当は離職の日以前2年間に 被保険者期間が通算して12か月以上であったときに支給すると定めています。これが原則です。
同条2項は、特定理由離職者と23条2項各号のいずれかに該当する者について、 この規定の適用にあたり「二年間」とあるのは「一年間」と、「十二箇月」とあるのは「六箇月」とすると定めています。
| 算定対象期間 | 必要な被保険者期間 | |
|---|---|---|
| 原則 | 離職の日以前2年間 | 通算12か月以上 |
| 特定受給資格者・特定理由離職者 | 離職の日以前1年間 | 通算6か月以上 |
所定給付日数についても、23条1項が、算定基礎期間が1年以上の特定受給資格者について (5号に掲げる者は5年以上)、年齢と算定基礎期間の区分に応じた日数を定めています。 実際の日数はハローワークの基本手当の所定給付日数で確認できます。受給額の目安は失業保険シミュレーターで試算できます。
特定受給資格者の範囲
雇用保険法23条2項は、倒産等により離職した者(1号)と、 解雇その他厚生労働省令で定める理由により離職した者(2号)を特定受給資格者としています。 以下はハローワークが公表している範囲の全項目です。
「倒産」等により離職した者
- 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
- 事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
- 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
- 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
「解雇」等により離職した者
- 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
- 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
- 賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
- 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
- 離職の直前6か月間のうちに、いずれか連続する3か月で45時間、いずれか1か月で100時間、又はいずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
- 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
- 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
- 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
- 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記に該当する場合を除く。)
- 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者及び事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者
- 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
- 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
- 事業所の業務が法令に違反したため離職した者
賃金の未払いや長時間労働、ハラスメント、退職勧奨など、 自分から辞表を出した場合でも該当しうる項目が含まれている点に注意してください。 退職勧奨の扱いは退職勧奨に応じる義務はない、募集型の制度に応じた場合は希望退職の募集・早期退職優遇制度に応じたときで整理しています。
特定理由離職者の範囲
雇用保険法13条3項は、特定理由離職者を23条2項各号のいずれかに該当する者以外の者であって、 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと (その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。) その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者と定義しています。
1. 期間満了により離職した者
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ更新がないことにより離職した者 (更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る)。 上記の特定受給資格者の項目に該当する場合を除きます。 ハローワークは補足として、 契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当するとしています。
2. 正当な理由のある自己都合により離職した者
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
- 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
- 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
- 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
- 通勤不可能又は困難となったことにより離職した者(結婚に伴う住所の変更、育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼、事業所の通勤困難な地への移転、自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと、鉄道・軌道・バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等、事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避、配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避)
- その他、上記「特定受給資格者の範囲」の「解雇」等により離職した者のうち退職勧奨の項目に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
ハローワークは補足として、この「正当な理由」は給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されるとしています。給付制限の仕組みは失業保険の給付制限をご覧ください。
判定するのはハローワーク
ハローワークは、受給要件を満たしていることを確認したうえで受給資格の決定を行い、このときに離職理由についても判定すると案内しています。 離職票に会社が記載した理由がそのまま確定するわけではありません。
そして離職理由に異議がある場合(実際は、事業主からの退職勧奨であるにも関わらず、 自己都合退職とされている場合など)はハローワークに相談するよう案内しており、事実関係を調査のうえ離職理由を判定するとしています。 手順は離職理由に納得できないときにまとめました。
よくある質問
Q. 引っ越しで通えなくなった場合は該当しますか?
特定理由離職者の「正当な理由のある自己都合」には、 通勤不可能または困難となったことによる離職として、 結婚に伴う住所の変更、事業所の通勤困難な地への移転、 配偶者の転勤・出向・再就職に伴う別居の回避などが挙げられています。 詳しくは引越し・転居による退職届の書き方をご覧ください。
Q. 介護のために辞めた場合は?
特定理由離職者の項目には、父もしくは母の死亡・疾病・負傷等のため扶養するために 離職を余儀なくされた場合や、常時本人の看護を必要とする親族の疾病・負傷等のために 離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことによる離職が挙げられています。 介護離職の手続きは親の介護による退職届の書き方で解説しています。
Q. 病気で働けないまま辞めました
特定理由離職者には、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などにより離職した者が含まれます。 働けない状態が続く場合は、まず受給期間の延長を検討してください。手続きは失業保険の受給期間延長、健康保険からの給付は傷病手当金の継続給付をご覧ください。