希望退職の募集・早期退職優遇制度に応じたとき
募集に応じて辞めた場合、失業保険の扱いはその制度がどういう性格のものかで分かれます。 ハローワークの公表資料に、この区別がはっきり書かれています。 応募する前に確認しておけば、後から離職理由でもめずに済みます。
このページで参照している法令・資料
- ハローワーク 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
- 雇用保険法13条2項・3項、23条2項
- 所得税法226条2項(退職手当等の源泉徴収票)
- 労働基準法22条1項(退職時等の証明)
扱いが分かれる仕組み
ハローワークが公表している特定受給資格者の範囲には、 「解雇」等により離職した者のひとつとして事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者が挙げられています。そして同じ項目に、次の除外が明記されています。
(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)
一方で、特定理由離職者の「正当な理由のある自己都合により離職した者」の項目には、 次の記載があります。
その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
| 離職のしかた | ハローワークの範囲での位置づけ |
|---|---|
| 事業主から直接または間接に退職するよう勧奨を受けて離職した | 特定受給資格者の範囲(「解雇」等により離職した者)に含まれる |
| 従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度等に応募して離職した | 上記の退職勧奨の項目には該当しない(明文で除外) |
| 企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した(上記の勧奨に該当しないもの) | 特定理由離職者の範囲(正当な理由のある自己都合)に含まれる |
特定受給資格者と特定理由離職者では、受給資格の要件は同じように読み替えられますが (雇用保険法13条2項)、所定給付日数の定めは異なります(同法23条1項)。 範囲の全体と条文の対応は特定受給資格者・特定理由離職者の範囲にまとめています。
応募する前に確認すること
1. その制度は従来から恒常的にあるものか
ハローワークの記載は「従来から恒常的に設けられている『早期退職優遇制度』等」を特定受給資格者の退職勧奨の項目から除外しています。就業規則や社内規程にいつから載っているかを確認してください
2. 今回限りの募集なのか
経営上の必要から期間を限って募集されているものか、通年で応募できるものか。案内文書の記載を保管しておきます
3. 応募の締切と撤回の可否
いつまでに申し込むのか、申し込んだ後に取り下げられるのか。会社が承諾した後の撤回は原則として難しくなります
4. 支給される金額と支払時期
上乗せの額、通常の退職金との関係、いつ支払われるのかを書面で確認します。口頭の説明だけで判断しないでください
5. 離職証明書にどう記載されるか
離職理由の記載は失業保険の扱いに直結します。会社がどう記載する予定かを、応募の前に確認してください
6. 退職日と社会保険の切り替え
退職日が月末か月末前日かで社会保険料の負担が変わります。健康保険・年金の切替も期限があります
退職日と社会保険料の関係は退職日は月末か月末前日か、退職後の健康保険の選び方は退職後の健康保険は3択で解説しています。
応じない選択もできる
募集への応募は労働者からの申込みです。応じなければ雇用は続きます。
募集とは別に、個別に呼ばれて応募を促された場合は、 それは退職勧奨にあたる可能性があります。 退職勧奨にも応じる義務はありません。詳しくは退職勧奨に応じる義務はないをご覧ください。
断ったにもかかわらず繰り返し面談を求められるといった状況になった場合は、 各都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談してください。
上乗せの支給と税金
退職手当等として支払われるものは退職所得として扱われ、 勤続年数に応じた退職所得控除があります。 控除額の計算と早見表は退職所得控除の計算方法、手取りの試算は退職金 手取り計算機で確認できます。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出を忘れないでください。提出していないと20.42%の税率で源泉徴収されます。詳しくは「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと20.42%引かれるをご覧ください。
退職手当等の源泉徴収票は、所得税法226条2項により退職の日以後1か月以内に交付されます。 届かない場合の対処は源泉徴収票がもらえないときにまとめています。
よくある質問
Q. 応募したあとで取り消せますか?
会社が承諾する前かどうかで変わります。 退職の意思表示の撤回については退職届・退職願は撤回できる?で解説しています。 募集の案内に撤回に関する定めが書かれていることもあるので、応募の前に確認してください。
Q. 離職理由の記載を会社と確認できますか?
ハローワークは、会社が提出する離職証明書について、 離職前に本人が氏名を記載することになっているとしたうえで、 離職理由等の記載内容も確認するよう案内しています。 署名の場面が確認の機会です。納得できない場合の進め方は離職理由に納得できないときをご覧ください。
Q. 退職証明書はもらえますか?
労働基準法22条1項により、使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由について 証明書を請求すれば、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。 同条3項により、労働者が請求しない事項は記入できないので、証明する項目は自分で選べます。詳しくは退職証明書は請求すればもらえるをご覧ください。