ボーナスをもらってから退職する方法
退職を検討している方の多くが「ボーナスをもらってから辞めたい」と考えます。本記事では、ボーナス支給後に退職するための法的知識と実務的なポイントを解説します。
ボーナスの「支給日在籍要件」とは
多くの企業のボーナス規定には、以下のような条件が定められています。
「ボーナスの支給日に在籍している従業員にのみ支給する」
これを「支給日在籍要件」と呼びます。たとえ入社以来ずっと勤めており、退職予定日がボーナス支給後であっても、支給日までに退職届を提出して在籍を外されれば、ボーナスを受け取れない可能性があります。
しかし、実務上は支給日に「在籍していること」だけが条件であり、「退職の意思表示をしていないこと」までは要求していない企業がほとんどです。
支給日在籍要件の法的効力
ボーナスは法律で支給が義務付けられた「給与」ではなく、企業の業績に応じて支給される「賞与」に分類されます。このため、支給日在籍要件は法律上有効とされています。
大和銀行事件(最高裁判所昭和57年10月7日判決)
「賞与について支給日現在において当該企業に在籍していることを受給要件とする取扱いは、合理的な慣行として是認すべきものである」
この判決に基づき、日本の企業では支給日在籍要件を定めるのが一般的な慣行となっています。
ボーナスをもらうための実務的な手順
- 1
就業規則を確認する
会社の就業規則(特にボーナス規定)を確認して、支給日在籍要件が定められているかどうかを調べます。人事部に問い合わせるか、会社のイントラネットで確認しましょう。
- 2
ボーナス支給日を確認する
会社のボーナス支給予定日を確認します。夏のボーナスは6〜7月、冬のボーナスは12月が一般的です。
- 3
支給日以降に退職届を提出する
ボーナスが支給されたことを確認した後、退職届を提出します。支給日の翌日~1週間以内が目安です。
- 4
退職予定日を記載する
退職届には正式な退職予定日を記載します。民法627条に基づき、提出日から2週間後、または会社の就業規則の期間後のいずれか遅い日付を設定するのが一般的です。
就業規則で減額対象になるケース
一部の企業では、退職予定者のボーナスを減額する規定を設けている場合があります。以下のポイントを確認しましょう。
減額対象になる場合
退職予定者であることが判明した時点で、ボーナスを減額または不支給にする規定がある企業
減額対象にならない場合
支給日在籍要件のみを定めており、退職の有無とは関係なく支給日に在籍していれば支給する企業
退職届の提出時の注意点
- ボーナス支給日前に「退職を考えている」と上司に相談するのは問題ありませんが、正式な退職届は支給日後に提出しましょう
- 退職届を出した直後にボーナスの支給日が来る場合は、支給日に在籍していることが確認されれば、通常通り支給されます
- 会社が人事異動などでボーナス支給日を変更する場合は、あらかじめ確認しておくと安心です
- ボーナス支給後も「今月末退職予定」と伝えるより、「3月末にお願いします」と日付を明確に記載するほうが安心です
よくある質問
Q. ボーナス支給日前に退職届を出したら、本当に減額される?
A. 就業規則で「支給日在籍要件」が定められている場合、支給日までに退職する(在籍を外される)と、ボーナスが減額または不支給になる可能性が高いです。ただし「退職予定であること」が条件ではなく「支給日に在籍していること」が条件なため、支給日まで在籍していれば通常支給されます。
Q. 退職予定でもボーナスは満額もらえる?
A. 企業の就業規則によります。支給日在籍要件のみの企業であれば、退職予定であっても支給日に在籍していれば満額支給されます。ただし、「退職予定者は減額」という規定がある企業では減額される可能性があります。必ず就業規則を確認してください。
Q. ボーナス直後の退職は会社に悪い印象を与える?
A. 法的には問題ありませんが、実務上は「ボーナスをもらってすぐに辞めた」と受け取られる可能性があります。引き継ぎを十分に行い、円満退社を心がけることで印象を改善できます。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスではありません。個別の状況に応じた判断が必要な場合は、弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
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