仕事を辞めたいけど次がないとき|在職中と退職後、どちらで探すか
辞めたい気持ちははっきりしているのに、次が決まっていないから動けない。この状態で止まっている人は多くいます。
ただ、「次が決まってから」という条件は、在職中の余力がないと満たせません。疲れきっていて求人を見る気力もない、面接の時間も取れない。だから決まらない。だから辞められない。この循環に入ると、何年も動けなくなります。
この記事では、在職中に探す場合と辞めてから探す場合の違いを、感覚ではなく期限と金額で比べます。
最初に、ひとつだけ確認すること
比較に入る前に、判断の分かれ目があります。
在職を続けることで、健康が損なわれる状態にありますか
眠れない、食べられない、通勤時に動悸や吐き気がする、休日も回復しない。これらが出ている場合、この記事の比較は当てはまりません。次が決まっているかどうかより、離れることが優先されます。ただし離れ方には順番があり、在職中でなければ使えない制度があります。
精神的に限界のとき、退職より先に確認すること
そうでない場合は、以下の比較に進んでください。
在職中に探す場合と、辞めてから探す場合
どちらが正解ということはありません。負荷のかかる場所が違うだけです。自分がどちらに耐えられるかで選びます。
| 在職中に探す | 辞めてから探す | |
|---|---|---|
| 収入 | 途切れない | 失業給付まで間が空く |
| 時間 | 面接の日程調整が難しい | 自由に動ける |
| 心理 | 断っても現状維持なので強気に選べる | 決まらない期間が長引くと焦りが出る |
| 健康保険・年金 | そのまま | 切り替えの手続きと自己負担が発生 |
| 空白期間 | 生じない | 生じる(説明できれば問題は小さい) |
| 期限 | なし | 失業給付の受給期間は原則1年 |
在職中の最大の利点は、断れることです。条件の合わない求人を見送っても、生活は変わりません。辞めてから探すと、「そろそろ決めないと」という圧力が判断に混ざります。
一方で、在職中は物理的に時間が取れないという現実があります。平日の面接、書類の準備、情報収集。すでに残業続きなら、そこにさらに積む形になります。
辞めてから探す場合、お金には期限がある
「貯金があるから大丈夫」と考えている場合、次の3つを日付で確認してください。金額だけでなく、いつ入っていつ出るかが重要です。
失業給付は、すぐには入らない
受給資格の決定後、離職理由にかかわらず全員に待期7日があります。自己都合退職の場合は、令和7年(2025年)4月1日以降の離職であれば原則1か月の給付制限があります(令和7年3月31日以前の離職は原則2か月でした)。会社都合や特定理由離職者に当たる場合は給付制限がありません。
給付制限期間/失業保険はいつ振り込まれるか
受給期間は原則1年で切れる
失業給付の受給期間は、原則として離職の日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れなくなります。活動が長引いた場合に効いてくる制限です。
受給期間は原則1年/受給期間の延長
出ていくお金が増える
これまで給与から天引きされていた健康保険料・国民年金保険料・住民税を、自分で払うことになります。とくに住民税は前年の所得に対して課税される後払いの税なので、収入が下がっても前年分の請求は届きます。
退職後にお金を払う日のカレンダー/退職後の住民税/退職に必要な貯金はいくらか
なお、早く再就職が決まった場合には再就職手当という制度があります。残りの給付日数を捨てて働き始めることが、単純な損にはならない仕組みです。
空白期間そのものより、説明できるかが問題
辞めてから探す場合、経歴に空白期間が生じます。ただ、空白があること自体より、その期間を説明できないことのほうが問題になります。
療養していた、家族の事情があった、資格の勉強をしていた、転職活動をしていた。実際に何をしていたかを一言で言える状態にしておけば、それで足ります。逆に、何もしていなかった期間をそのまま説明することになると、面接で苦しくなります。
対策として現実的なのは、失業給付の認定に必要な求職活動実績を、最低ラインの活動量として使うことです。制度上必要な活動が、そのまま空白期間の中身になります。
「次がない」の中身が、やりたいことがない場合
次が決まっていないのではなく、そもそも何をしたいか分からない。この状態も少なくありません。
このとき、考えて答えを出そうとすると止まります。やりたいことは、動いた結果として絞り込まれることのほうが多いためです。材料を増やすと、少なくとも「これは違う」が分かります。
- ハローワークの職業相談を使う(在職中でも利用できます)
- 求人を条件だけで20件見て、目に留まったものの共通点を探す
- 教育訓練給付の対象講座の一覧を眺めて、興味の方向を確かめる
- いまの仕事で「これだけは苦ではない」作業を書き出す
二択で考えなくてもいい
在職中か退職後か、という二択に見えていますが、実際には間があります。
有給消化の期間を活動に充てる
退職日を決めたうえで、残った有給を消化する期間は在籍したまま自由に動けます。収入も社会保険もそのままです。残日数によっては、実質的な準備期間になります。
退職時の有給消化/有給の残日数を確認する方法
期限を切って在職中に動く
「3か月動いて決まらなければ、決まっていなくても辞める」のように自分で期限を設定すると、無期限に耐える形を避けられます。期限がないことが、この状態を長期化させる最大の要因です。
休職して立て直してから決める
疲れきって活動できないのが原因なら、退職ではなく休職という段階があります。回復してから判断するほうが、条件の良い選択ができます。
辞める前に「休職」という選択肢
今日やるなら、この2つ
どちらを選ぶにしても、判断材料が足りていないことが多くあります。今日できるのは次の2つです。
- 生活費が何か月分あるか計算する -- 貯金額を毎月の支出で割るだけです。ここに退職後の保険料・年金・住民税を足すと、実際の月数が出ます
- 有給の残日数を確認する -- 残日数によって、辞めるまでに使える準備期間が変わります
この2つが分かると、「次が決まるまで動けない」が「あと何か月なら動ける」に変わります。期限のある問題になれば、判断できます。
よくある質問
Q. 次が決まっていない状態で辞めてもよいのでしょうか?
状況によります。判断の分かれ目は、在職を続けることで健康が損なわれるかどうかです。心身に不調が出ている場合は、次が決まっていなくても離れることが優先されます。そうでない場合は、在職中に活動するほうが収入が途切れず、条件を比べる余裕も持てます。ただし在職中は面接の時間を確保しにくいという負荷があるため、どちらが正解と決まっているわけではなく、自分がどちらの負荷に耐えられるかで選ぶことになります。
Q. 退職後に転職活動をする場合、期限はありますか?
失業給付の受給期間は原則として離職の日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受給できなくなります。また自己都合退職の場合、令和7年(2025年)4月1日以降の離職であれば待期7日のあと原則1か月の給付制限があり、その分だけ最初の入金が遅れます。病気やけがで30日以上働けない場合は、受給期間を延長する手続きがあります。
Q. 辞めてから探すなら、生活費はどのくらい必要ですか?
毎月の生活費に加えて、退職後は給与から天引きされていた健康保険料・国民年金保険料・住民税を自分で払うことになるため、支出が一時的に増えます。住民税は前年の所得に対して課税される後払いの税なので、収入が下がっても前年分の請求は届きます。入るお金と出るお金を日付順に並べて、何か月分の余裕があるかを先に計算してください。