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新卒で仕事を辞めたいとき|入社1年目の判断材料と手続き

入社して数か月。周りは順応しているように見えるのに、自分だけがついていけていない気がする。そして「まだ1年も経っていないのに辞めたいと思うなんて」と、辞めたい気持ちと自己批判の両方を抱えることになります。

この記事では、まず統計で実態を確認し、そのうえで入社1年目に特有の確認事項を整理します。辞めることを勧める記事ではありませんが、辞めないことを勧める記事でもありません。

早期離職の実態

厚生労働省が公表する令和4年3月卒業者の離職状況では、就職後3年以内の離職率は次のとおりです。

  • 大学卒 33.8%(およそ3人に1人)
  • 短大等卒 44.5%
  • 高校卒 37.9%
  • 中学卒 54.1%

さらに重要なのが、事業所の規模による差です。従業員5人未満では57.5%、1,000人以上では27.0%と、倍以上の開きがあります。産業別でも、宿泊業・飲食サービス業が55.4%、生活関連サービス業・娯楽業が54.7%と高くなっています。

同じ「3年以内に辞めた人」でも、入った先によってこれだけ違います。辞めたいと感じる原因が、自分の忍耐力だけで説明できるものではないことを、この差は示しています。

新規学卒者の3年以内離職率(規模別・産業別の内訳)

1年目だからこそ、切り分けたいこと

1年目は判断が難しい時期です。「まだ慣れていないだけ」なのか「環境そのものに問題がある」のかが、経験不足のせいで区別しにくいためです。次の観点で分けてみてください。

慣れの問題である可能性が高いもの

仕事が難しい、覚えることが多い、先輩に比べて遅い、失敗が怖い。これらは時間で解決する部分が大きい要素です。入社直後にできないのは当然で、いま働いている人も全員が通ってきています。

環境の問題である可能性が高いもの

教える人がいない、手順書もなく質問できる相手もいない、入社前の説明と条件が違う、残業が常態化している、人格を否定される。これらは時間が経っても変わりません。むしろ在籍が長くなるほど、抜けにくくなります。
労働条件通知書を確認するパワハラの定義

状態として現れているもの

眠れない、食べられない、朝に涙が出る、通勤時に動悸や吐き気がする。これは慣れでも環境でもなく、体に出ている変化です。判断より先に確認することがあります。
精神的に限界のとき、退職より先に確認すること

なお、能力不足だと感じている場合は、環境要因が混ざっていることがほとんどです。

能力不足で辞めたいと感じるとき

入社1年目に特有の確認事項

試用期間中でも辞められる

試用期間中であっても労働契約は成立しています。期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条により、申し入れから2週間で契約が終了します。就業規則に申し出時期の定めがある場合は、それも踏まえて相談する形になります。
試用期間中の退職届2週間前ルール(民法627条)

失業保険の受給資格を満たしているか

自己都合退職の場合、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。新卒で1年未満の場合、この要件を満たさないことがあります。一方、会社都合や特定理由離職者に当たる場合は、1年間に通算6か月以上で要件を満たします。
勤続1年未満で辞めると失業保険はどうなるか

有給休暇は入社6か月後に付与される

年次有給休暇は、雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されます。入社6か月未満だと、そもそも付与されていない可能性があります。退職日を決める前に残日数を確認してください。
年次有給休暇の付与日数出勤率8割の判定

研修費の返還を求められた場合

入社時の研修について、早期退職を理由に費用の返還を求められることがあります。ただし、返還の合意がすべて有効になるわけではありません。業務に必要な研修の費用を労働者に負担させる形になっていないか、実質的に退職の自由を制限していないかが問題になります。
研修費・資格取得費用の返還を求められたら退職を理由に損害賠償を請求されたら

奨学金の返済がある場合

無収入の期間が生じても、返済は止まりません。収入が下がったときの猶予制度がある場合があるため、貸与元に確認してください。生活費の計算にはこの分も含めます。
退職に必要な貯金はいくらか

次の面接で、何を聞かれるか

短期離職で最も心配されるのがここです。ただ、面接官が知りたいのは在籍期間の長さではなく、「同じ理由でうちもすぐ辞めないか」です。

つまり、辞めた理由を説明できるかどうかと、次に何を求めているかを言えるかどうかで決まります。「合わなかった」だけで終えると、判断材料がないため不安が残ります。逆に、事実を述べたうえで次の条件に接続できれば、期間の短さそのものは決定打になりません。

短期離職を面接でどう説明するか面接での退職理由の伝え方履歴書の退職理由の書き方

今日決めなくていいこと

1年目は、判断材料が最も少ない時期でもあります。だからこそ、勢いで後戻りできない選択をしないでください。退職届は一方的な通知なので、提出後の撤回は原則できません。

今日できるのは、次のうち1つで十分です。

  • 就業規則を探して、退職の申し出時期の条文だけ読む
  • 労働条件通知書を出してきて、入社前の説明と照合する
  • いま感じている問題を、日付と出来事の形で3つ書き出す
  • 体調に変化が出ているなら、受診の予約を取る

退職届と退職願の違い仕事を辞めたいのは甘えなのか辞めるべきサインと、辞めないほうがいいケース仕事を辞めたいと思ったら

よくある質問

Q. 新卒で1年以内に辞めるのは、やはり不利になりますか?

厚生労働省が公表する令和4年3月卒業者の離職状況では、就職後3年以内の離職率は大学卒33.8%、高校卒37.9%、短大等卒44.5%です。事業所規模による差も大きく、従業員5人未満では57.5%、1,000人以上では27.0%です。早期離職そのものは統計上少数派ではありません。面接で問われるのは在籍期間の長さより、辞めた理由を説明できるかどうかと、同じ理由で繰り返さないと示せるかどうかです。

Q. 試用期間中でも辞められますか?

辞められます。試用期間中であっても労働契約は成立しており、自分から辞める場合は通常の退職と同じ手続きになります。期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条により、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって雇用は終了します。ただし会社の就業規則に申し出時期の定めがある場合は、円満に進めるためにその期間も踏まえて相談することになります。

Q. 入社してすぐ辞めると、研修費の返還を求められますか?

請求される場合がありますが、返還の合意がすべて有効になるわけではありません。業務に必要な研修の費用を労働者に負担させる形になっていないか、実質的に退職の自由を制限していないかが問題になります。まず就業規則や入社時に署名した誓約書の内容を確認し、判断に迷う場合は全国の労働局・労働基準監督署内にある総合労働相談コーナーで無料で相談できます。

決めたときに、書類で止まらないように

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