40代で仕事を辞めたいとき|統計で見る判断材料と、この年代の注意点
40代の退職には、「この年齢では決まらない」という思い込みがついて回ります。ただ、この前提は実際の統計とはずれています。
この記事では公表されているデータで全体像を確認したうえで、この年代に特有の確認事項(介護、退職金の区切り、失業給付の日数)を整理します。
40代の転職で、賃金はどう動いているか
厚生労働省の令和6年雇用動向調査から、転職した人の賃金の変動です。
| 年齢 | 増加 | 減少 | 差 |
|---|---|---|---|
| 40〜44歳 | 45.9% | 29.0% | +16.9ポイント |
| 45〜49歳 | 46.4% | 23.8% | +22.6ポイント |
| 全年齢平均 | 40.5% | 29.4% | +11.1ポイント |
45〜49歳の増加率46.4%は、30代の水準(46.1%、45.5%)とほぼ同じです。「40代になると下がる」という前提は、この統計とは合っていません。
一方で転職入職率は40〜44歳で男性6.8%・女性10.2%、45〜49歳で男性6.0%・女性10.7%と、20代の半分以下になります。つまり、動く人は減るが、動いた人の条件が悪いわけではないという構図です。
動く人が減る理由は、転職市場の評価だけでなく、住宅ローンや子どもの教育費といった固定費が動きにくくしている面もあります。市場の問題と、自分の家計の制約は、分けて考えてください。
40代で確認しておくこと
退職金の勤続年数の区切り
勤続年数が長くなっているぶん、区切りによる差が大きくなります。退職所得控除は勤続20年までは1年あたり40万円、20年を超える部分は1年あたり70万円で計算します。勤続20年前後であれば、数か月の差が手取りに響くことがあります。
退職所得控除の計算方法と早見表/申告書を出さないと20.42%引かれる
失業給付の所定給付日数
所定給付日数は90日から最長360日まであり、離職理由・年齢・被保険者期間で決まります。会社都合など特定受給資格者に当たる場合は、年齢と被保険者期間によって日数が手厚くなります。自己都合か会社都合かで大きく変わるため、離職理由の扱いは確認してください。
失業保険の手続きガイド/自己都合と会社都合の違い/受給額シミュレーター
介護が理由なら、辞める前に制度を確認する
この年代で増えるのが介護を理由とする離職です。介護休業や介護休暇を使えば、在籍したまま時間を確保できる場合があります。辞めてしまうと収入と社会保険の資格の両方を失います。また、家族の介護を理由とする離職は特定理由離職者に当たる可能性があり、該当すれば給付制限が適用されません。
親の介護による退職届の書き方/特定受給資格者・特定理由離職者の範囲
希望退職や退職勧奨を受けている場合
募集や勧奨に応じるかどうかで、失業給付の離職理由の扱いと、割増退職金の有無が変わります。退職勧奨に応じる義務はなく、その場で返事をする必要もありません。条件は書面で確認してください。
希望退職の募集・早期退職優遇制度に応じたとき/退職勧奨に応じる義務はない
経験をどう説明するかで結果が変わる年代
40代の転職では、年数ではなく「何ができるか」で見られます。同じ職種で長く働いてきた場合、社内でしか通用しない形になっていないかを確認してください。
確認の方法として現実的なのは、実際の求人を見ることです。求められている要件と自分の経験を突き合わせると、通用する部分と足りない部分がはっきりします。ハローワークの職業相談は在職中でも利用できます。
判断の軸は、年代ではなく状況
40代は失うものが増えるぶん、決断が重くなります。ただ、心身に不調が出ている場合は、この年代であっても優先順位は変わりません。在職中でなければ使えない制度があるため、順番だけは確認してください。
精神的に限界のとき、退職より先に確認すること/辞めるべきサインと、辞めないほうがいいケース/退職に必要な貯金はいくらか/仕事を辞めたいと思ったら
よくある質問
Q. 40代の転職では賃金が下がるのが普通ですか?
厚生労働省の令和6年雇用動向調査によれば、転職した人のうち賃金が増加した割合は40〜44歳で45.9%、減少が29.0%で16.9ポイント上回ります。45〜49歳では増加46.4%、減少23.8%で22.6ポイント上回っており、いずれも全年齢平均(差11.1ポイント)を超えています。統計上は40代でも賃金が上がった人のほうが多く、下がるのが普通という状況ではありません。
Q. 40代で転職する人はどのくらいいますか?
令和6年雇用動向調査の転職入職率は、40〜44歳で男性6.8%・女性10.2%、45〜49歳で男性6.0%・女性10.7%です。20代(20〜24歳で男性13.4%・女性14.3%)と比べると低くなりますが、女性は10%台を維持しています。人数としては決して少なくありません。
Q. 親の介護が理由で辞める場合、先に確認することはありますか?
介護休業や介護休暇といった制度が使えないかを先に確認してください。辞めてしまうと収入と社会保険の資格の両方を失いますが、制度を使えば在籍したまま時間を確保できる場合があります。また、家族の介護を理由とする離職は、失業給付で特定理由離職者に当たる可能性があり、該当すれば給付制限が適用されません。判断はハローワークが行うため、経緯の分かる資料を持参して相談してください。