30代で仕事を辞めたいとき|統計で見る判断材料と、この年代の注意点
30代の退職は、20代とは制約の種類が変わります。自分ひとりの判断で決められる部分が減り、家族、住宅、子どもの予定が絡んできます。
一方で、経験が評価される年代でもあります。この記事では統計で全体像を確認したうえで、30代で退職を決める前に確認しておくことを整理します。
30代の転職で、賃金はどう動いているか
厚生労働省の令和6年雇用動向調査から、転職した人の賃金の変動です。
| 年齢 | 増加 | 減少 | 差 |
|---|---|---|---|
| 30〜34歳 | 46.1% | 24.2% | +21.9ポイント |
| 35〜39歳 | 45.5% | 24.3% | +21.2ポイント |
| 全年齢平均 | 40.5% | 29.4% | +11.1ポイント |
30代はいずれの層も増加が減少を20ポイント以上上回っており、全年齢平均を超えています。「35歳を過ぎると転職で条件が下がる」という前提は、この統計とは合っていません。
転職入職率は30〜34歳で男性10.3%・女性13.2%、35〜39歳で男性7.9%・女性10.5%。20代より下がりますが、動いている人は一定数います。
30代で確認しておくこと
審査を伴う手続きの予定があるか
住宅ローンの新規借り入れや借り換え、クレジットカードの発行、賃貸契約。審査の基準は金融機関ごとに異なりますが、実務上は在職中のほうが進めやすいのが一般的です。予定があるなら、退職前に済ませてください。返済中のローンについては、返済を続けている限り退職そのものが直ちに問題になるわけではありません。
家族の扶養と、健康保険の切り替え
配偶者が働いている場合、収入要件を満たせば扶養に入るという選択肢があります。その場合は保険料の負担なく資格が維持されます。子どもの扶養も同様です。任意継続、国民健康保険と比べて、どれが有利かは前年の所得と家族構成で変わります。
退職後の健康保険は3択/配偶者・家族の扶養に入る条件
育児と両立するための制度を使い切ったか
時間の制約が退職理由になっている場合、辞める前に使える制度が残っていないか確認してください。短時間勤務、所定外労働の制限、子の看護等休暇など、申し出によって使えるものがあります。
育児と両立するための制度/配置転換・異動を希望する
退職金の勤続年数の区切り
勤続年数によって支給率が変わる規程があります。数か月ずらすだけで金額が変わることがあるため、規程を先に読んでください。また、退職所得控除は勤続20年までは1年あたり40万円で計算します。
退職金の相場/退職所得控除の計算方法
家族に反対されているとき
30代の退職で最も多い障壁がここです。ただ、家族が反対しているのは「辞めること」ではなく「見通しが分からないこと」である場合がほとんどです。
気持ちを説明しても平行線になりやすいのは、そこが論点ではないからです。次の3つを紙にして見せると、会話の性質が変わります。
- 生活費が何か月もつか(退職後に増える保険料・年金・住民税を含めた額で)
- 失業給付がいつからいくら入るか(自己都合なら待期7日と給付制限がある点も)
- 転職活動の期限をいつに置くか
とくに住民税は前年の所得に対する後払いの税なので、収入が下がっても請求が届きます。ここを共有しておかないと、後で「聞いていない」という話になります。
判断の軸は、年代ではなく状況
30代は制約が多い分、「動けない理由」を数えるほうが簡単になります。ただ、放置しても状況が変わらないなら、期限を切って動くしかありません。
在職中に活動すれば収入は途切れません。まずは求人を見て相場を確認するところからで、辞める決断は後でも構いません。
在職中に転職活動を進める方法/辞めるべきサインと、辞めないほうがいいケース/辞めたいけど次がないとき/仕事を辞めたいと思ったら
よくある質問
Q. 30代の転職で賃金は下がりますか?
厚生労働省の令和6年雇用動向調査によれば、転職した人のうち賃金が増加した割合は30〜34歳で46.1%、減少が24.2%で21.9ポイント上回ります。35〜39歳では増加45.5%、減少24.3%で21.2ポイント上回っています。いずれも全年齢平均(増加40.5%、減少29.4%、差11.1ポイント)を上回っており、統計上は30代でも賃金が上がる人のほうが多い状況です。
Q. 家族に反対されている場合、どう説明すればよいですか?
家族が反対しているのは辞めること自体ではなく、見通しが分からないことである場合がほとんどです。気持ちを説明しても平行線になりやすいのは、そこが論点ではないためです。生活費が何か月もつか、失業給付がいつからいくら入るか、健康保険料と住民税がいくらかかるかを紙にして示すと、会話の性質が変わります。とくに住民税は前年の所得に対する後払いの税なので、収入が下がっても請求が届く点を共有しておくと誤解が減ります。
Q. 住宅ローンを組む予定がある場合、退職のタイミングはどうすべきですか?
審査の基準は金融機関ごとに異なり公開もされていませんが、実務上は在職中のほうが手続きを進めやすいのが一般的です。新規の借り入れや借り換えの予定があるなら、退職前に済ませておくほうが確実です。すでに返済中のローンについては、返済を続けている限り退職そのものが直ちに問題になるわけではありません。予定がある場合は、条件を申込先に直接確認してください。