配置転換・異動を希望する
辞めたい理由が「いまの部署」や「いまの担当業務」にある場合、 会社そのものを離れなくても解決することがあります。 法律上、会社が異動希望に応じる義務はありませんが、希望を出すこと自体は妨げられません。 そして出したという経緯は、後から効いてくることがあります。
このページは労働基準法施行規則5条、労働基準法89条、育児・介護休業法26条の条文に基づいています。
まず契約上の「変更の範囲」を見る
労働基準法施行規則5条1項1号の3は、明示すべき労働条件として 「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)」を挙げています。
この欄を見れば、いまの契約でどこまで異動がありうるのかがわかります。 範囲が広く書かれていれば、希望を出す余地もその分あるということです。 逆に勤務地や職務が限定されている契約なら、 会社側から一方的に変えることも簡単ではありません。
労働条件通知書が見当たらない場合の探し方は労働条件通知書を確認するにまとめています。
社内の仕組みがあるかを確認する
多くの会社は、自己申告制度や社内公募制度を設けています。 労働基準法89条10号は、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合に 就業規則へ記載することとしているため、 制度があるなら就業規則か関連する規程に書かれているはずです。
自己申告制度
定期的に希望を提出する仕組みです。時期が決まっていることが多くあります。
社内公募(ジョブポスティング)
募集が出たポストに自分で応募する仕組みです。
上司・人事との面談
制度がなくても、面談の場で相談すること自体は妨げられません。
育児・介護をしている場合の配慮
育児・介護休業法26条は、事業主は労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものを しようとする場合において、その変更により就業しつつ子の養育または家族の介護を行うことが 困難となる労働者がいるときは、その子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならないと定めています。
異動を禁止する規定ではなく、配慮を求める規定です。 ただし事情を伝える根拠になります。育児と両立するための制度は育児と両立するための制度に、介護については親の介護による退職届の書き方にまとめています。
希望を出すときに整理しておくこと
- ・いまの業務のどこが続けられないのか(人・業務内容・勤務地・時間のどれか)
- ・異動先でなら解決するのか、それとも会社全体の問題なのか
- ・希望する部署や職種を具体的に挙げられるか
- ・いつまでに結論がほしいか
2つ目が重要です。異動しても解決しない問題なら、異動を待つ時間が損失になります。長時間労働や賃金の不払いのように、会社全体の運用に起因するものは 部署を移っても変わらないことがあります。
通らなかったときも記録は残る
希望が通らないこと自体は違法ではありません。 ただ、そこから退職を選ぶとしても「異動を希望したが叶わなかった」という経緯は残ります。面接で退職理由を説明するときに、 単に合わなかったというより具体的な話になります。
面接での伝え方は面接での退職理由の伝え方を参照してください。
よくある質問
自分から異動を希望することはできますか?
希望を出すこと自体は自由です。ただし会社に応じる義務があるかどうかは別で、法律上、労働者の異動希望に応じなければならないという規定はありません。多くの会社は自己申告制度や社内公募制度を設けているため、まずその仕組みがあるかを就業規則や社内規程で確認してください。制度がない場合でも、上司や人事に相談すること自体は妨げられません。
「変更の範囲」とは何ですか?
労働基準法施行規則5条1項1号の3は、明示すべき労働条件として「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)」を挙げています。入社時点の勤務地や職務だけでなく、将来配置転換されうる範囲まで明示することとされているため、労働条件通知書を見れば、どこまで異動がありうる契約なのかがわかります。
育児や介護をしている場合に配慮はありますか?
あります。育児・介護休業法26条は、事業主は労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その変更により就業しつつ子の養育または家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、その状況に配慮しなければならないと定めています。配慮を求める規定であり、異動そのものを禁止するものではありませんが、事情を伝える根拠になります。
異動の希望が通らなかったらどうすればよいですか?
希望が通らないこと自体は違法ではありません。ただし、そこで初めて退職を検討するとしても、それまでに「異動を希望したが叶わなかった」という経緯が残っていることには意味があります。退職の理由を面接で説明するときにも、単に合わなかったというより具体的な話になります。並行して、労働時間や賃金など制度上の問題がないかも確認してください。