転勤を命じられたとき
転勤の内示は、退職を考えるきっかけになりやすい出来事です。 しかも決断までの時間が短いことが多く、 その場で「辞めます」と言ってしまう人もいます。確認する順番を決めておくだけで、 選べる余地が変わります。
このページは労働基準法施行規則5条、育児・介護休業法26条、特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワーク)に基づいています。
確認する順番
STEP 1
労働条件通知書の「変更の範囲」を見る
就業の場所について、変更の範囲がどう書かれているかを確認します。勤務地が限定されているなら、範囲を超える異動を一方的に行うことは簡単ではありません。
STEP 2
就業規則の異動に関する定めを見る
転勤の根拠がどこに置かれているか、赴任にあたっての手当や支援の定めがあるかを確認します。
STEP 3
育児・介護の事情があれば伝える
育児・介護休業法26条の配慮義務があります。伝えなければ配慮のしようがないため、事実を具体的に伝えます。
STEP 4
時期や条件の調整を相談する
赴任時期を遅らせる、単身での赴任にする、期間を区切るなど、断る以外の選択肢がないかを探ります。
STEP 5
それでも難しければ退職日を組む
有給の残日数と申出期限から逆算します。内示から赴任までが短くても、退職日は別に調整できます。
育児・介護をしている場合の配慮義務
育児・介護休業法26条は、就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、その状況に配慮しなければならないと定めています。
これは配慮を求める規定であって、転勤そのものを禁止するものではありません。 ただし、事情を伝えたかどうかで会社の対応は変わりえます。 口頭だけでなく、記録が残る形でも伝えておくと確実です。
事業所の移転と個人の転勤は別に扱われる
ハローワークが公表している特定受給資格者の範囲には、事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者が挙げられています。これは事業所そのものが移った場合です。
一方、個人に対する転勤命令を断って辞めた場合の扱いは、事情によって変わります。 自己都合として処理されることもあれば、そうでないこともあります。離職票の記載を必ず確認し、 納得できない場合はハローワークに申し出てください。
異議申立ての手順は離職理由に納得できないときにまとめています。ハローワークが調査のうえ判定します。
引越しを伴う場合に確認すること
- ・赴任にかかる費用の負担(就業規則や規程に定めがあることがあります)
- ・社宅や住宅手当の扱い
- ・配偶者の勤務先との兼ね合い
- ・退職を選ぶ場合、引越しと退職日のどちらを先に決めるか
配偶者の転勤に伴って自分が辞める場合の書き方は引越し・転居による退職届の書き方にまとめています。離職理由の扱いが変わることがあります。
よくある質問
転勤は断れますか?
契約の内容によります。労働基準法施行規則5条1項1号の3は、就業の場所および従事すべき業務について、その変更の範囲を含めて明示することとしています。勤務地が限定された契約であれば、範囲を超える異動を一方的に行うことは簡単ではありません。逆に変更の範囲が広く定められている場合、断れるかどうかは個別の事情によります。まず労働条件通知書と就業規則を確認してください。
育児や介護をしていることは考慮されますか?
育児・介護休業法26条は、事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならないと定めています。異動を禁止する規定ではありませんが、事情を伝える根拠になります。
転勤を断って辞めた場合、自己都合になりますか?
状況によります。ハローワークが公表している特定受給資格者の範囲には、事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者が挙げられています。これは事業所そのものが移転した場合です。個人の転勤命令を断って辞めた場合の扱いは事情によって変わるため、離職票の記載とあわせてハローワークに確認してください。
内示を受けてから退職を申し出るまでの時間がありません
期間の定めのない雇用であれば、民法627条1項により解約の申入れの日から2週間を経過することによって雇用は終了します。就業規則に1か月前などの定めがあることもありますが、内示から赴任までの期間が短い場合は、まず異動の時期を後ろにずらせないか、または赴任せずに退職日を調整できないかを会社と相談することになります。