育児と両立するための制度
子どもが生まれてから働き方が合わなくなり、退職を考えるという流れはよくあります。 ただ、辞める前に使える制度が法律で定められています。 いずれも申出や請求にもとづく制度なので、 自分から動かなければ始まりません。
辞める前に使える3つ
所定労働時間の短縮措置(時短勤務)
- 対象
- 3歳に満たない子を養育する労働者で、育児休業をしていない人
- 内容
- 事業主は、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮する措置を講じなければならないとされています(育児・介護休業法23条1項)。
ただし、引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者など、労使協定により除外されることがあります。
所定外労働の制限(残業の免除)
- 対象
- 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
- 内容
- 請求した場合の取扱いを育児・介護休業法16条の8が定めています。請求は1か月以上1年以内の期間について行います。
引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者などは、労使協定により除外されることがあります。
配置の変更における配慮
- 対象
- 就業の場所の変更を伴う配置転換の対象になる労働者
- 内容
- 事業主は、その変更により就業しつつ子の養育を行うことが困難となる労働者がいるときは、その状況に配慮しなければならないとされています(同法26条)。
異動を禁止する規定ではなく、配慮を求める規定です。
制度を使ったことで不利に扱ってはならない
育児・介護休業法10条は、事業主は、労働者が育児休業申出等をし、 若しくは育児休業をしたことなどを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。
さらに男女雇用機会均等法11条の3は、職場において行われる女性労働者に対する 妊娠したこと、出産したことその他の妊娠又は出産に関する事由に関する言動により 就業環境が害されることのないよう、 事業主が相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の 雇用管理上必要な措置を講じなければならないとしています。
制度を使いたいと言った途端に態度が変わる、という状況はこの規定にかかわります。セクハラ・マタハラへの対応を参照してください。
除外されることがある点に注意
条文は、いずれの制度についても労使協定によって除外できる労働者を定めています。 典型は「当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者」です。
自分が対象になるかは、勤務先の労使協定と就業規則を見ないと確定しません。 就業規則は労働基準法106条1項により周知されているはずのものです。 探し方は就業規則はどこで見られるかにまとめています。
それでも続けられないとき
制度を使っても難しい場合は退職を選ぶことになります。 その場合も、確認しておくと選択肢が増えるものがあります。
- 失業保険の受給期間延長すぐに働けない状態が続くなら、働ける状態になってから受けられるよう延長できます
- 特定受給資格者・特定理由離職者の範囲離職理由の区分によって給付制限や日数が変わります
- 配偶者・家族の扶養に入る条件退職後の健康保険の選択肢のひとつです
よくある質問
時短勤務はいつまで使えますか?
育児・介護休業法23条1項は、事業主は、その雇用する労働者のうち、その3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないものに関して、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮する措置を講じなければならないと定めています。つまり法律上の措置義務は子が3歳になるまでです。会社が就業規則でこれを上回る期間を定めていることもあるため、勤務先の制度も確認してください。
残業を免除してもらうことはできますか?
できる場合があります。育児・介護休業法16条の8第1項は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合について定めており、請求は1か月以上1年以内の期間について、その初日と末日を明らかにして行うこととされています。ただし、その事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者などは、労使協定により除外されることがあります。
制度を使うと評価が下がりませんか?
不利益な取扱いは禁止されています。育児・介護休業法10条は、事業主は、労働者が育児休業申出等をし、若しくは育児休業をしたことなどを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。また男女雇用機会均等法11条の3は、妊娠・出産等に関する言動により就業環境が害されることのないよう、事業主が雇用管理上必要な措置を講じなければならないとしています。
制度を使っても続けられないときは?
退職を選ぶことになりますが、その場合も先に制度を使っていた事実は残ります。また、育児を理由に退職する場合でも、離職理由の区分や失業保険の受給期間延長など、確認しておくべき制度があります。すぐに働けない状態が続くなら、受給期間の延長を申請しておくことで、働ける状態になってから失業保険を受けられます。