退職後に扶養に入る条件
退職後に家族の健康保険の被扶養者になれれば、健康保険料の負担がなくなります。 配偶者の扶養に入る場合は国民年金の第3号被保険者にもなれるため、 国民年金保険料も不要です。退職後の選択肢のなかで金銭的な負担が最も軽くなります。
このページは協会けんぽ(全国健康保険協会)の基準に基づいています。 健康保険組合の場合は組合ごとに独自の基準を設けていることがあるため、最終的には家族の勤務先を通じて確認してください。
年間収入の基準額
| 対象者 | 年間収入 |
|---|---|
| 原則 | 130万円未満 |
| 60歳以上 | 180万円未満 |
| 障害厚生年金を受けられる程度の障害者 | 180万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(配偶者を除く) | 150万円未満 |
加えて、被保険者との関係によって次の条件があります。
- 被保険者と同一世帯の場合被保険者の年間収入の2分の1未満であること
- 同一世帯でない場合被保険者からの援助による収入額より少ないこと
出典:協会けんぽ「令和8年4月から任意継続被扶養者となるための要件が変わります」/「被扶養者の認定における特例について」
収入は「これから1年間の見込み」で見る
社会保険の被扶養者の収入は、過去の実績ではなく今後1年間の見込みで判定します。 退職した時点で在職中の給与収入は終わっているため、 その年に130万円以上の給与を受け取っていても、退職後の見込み収入が基準内なら扶養に入れます。
失業保険をもらうと扶養に入れないことがある
見落としやすいのが、失業保険の基本手当も収入に含まれることです。 退職後に基本手当を受け取る予定なら、その額を含めて見込み収入を判定します。
基本手当の日額が一定以上になると、年間の見込み収入が基準額を超えてしまい、 受給している間は扶養に入れません。よくある進め方は次のとおりです。
- 給付制限期間中は扶養に入る— 自己都合退職の場合、待期7日と給付制限期間は基本手当が支給されません
- 受給が始まったら扶養を抜ける— 国民健康保険・国民年金に切り替えます
- 受給が終わったら再び扶養に入る
出入りの手続きが必要になるため、扶養に入る前に必ず家族の勤務先に相談してください。 判定方法や必要書類は保険者によって異なります。
社会保険の扶養と税法上の扶養は別物
| 社会保険の扶養 | 税法上の扶養 | |
|---|---|---|
| 効果 | 健康保険料が不要(配偶者なら国民年金保険料も不要) | 配偶者控除・扶養控除で所得税・住民税が軽くなる |
| 判定期間 | 今後1年間の見込み | その年の1月〜12月の実績 |
| 失業保険 | 収入に含まれる | 所得に含まれない(非課税) |
| 手続先 | 家族の勤務先 | 年末調整または確定申告 |
混同されやすいのが失業保険の扱いです。 雇用保険法12条により失業等給付には課税されないため税法上の所得には含まれませんが、社会保険の被扶養者認定では収入として扱われます。 「非課税だから扶養の判定にも影響しない」と考えると誤ります。
年の途中で退職して収入が下がった場合、その年は配偶者控除・配偶者特別控除の対象に なることがあります。家族の年末調整または確定申告で申告してください。
配偶者の扶養なら年金も第3号になる
20歳以上60歳未満で配偶者に扶養される場合、国民年金の第3号被保険者になります。 第3号被保険者は国民年金保険料の負担がなく、その期間も年金額に反映されます。
第3号になれるのは配偶者の扶養だけ
親や子の健康保険の被扶養者になる場合、健康保険料は不要になりますが、国民年金は第1号被保険者として自分で納めます。 健康保険と年金で扱いが違う点に注意してください。 保険料を納めるのが難しい場合は、退職による特例免除を申請します。
特例免除については退職後の国民年金の切替と特例免除をご覧ください。
手続きの進め方
ステップ1:在職中に家族の勤務先へ相談する
健康保険組合によって基準や必要書類が異なります。失業保険を受給する予定があることも伝えて、扶養に入れる期間を確認します。
ステップ2:必要書類を集める
退職証明書または離職票、健康保険資格喪失証明書、収入がわかる書類(雇用保険受給資格者証など)が求められるのが一般的です。
ステップ3:家族の勤務先を通じて届出する
被扶養者(異動)届を家族の勤務先に提出します。配偶者の扶養に入る場合は、同時に国民年金第3号被保険者の手続きも行われます。
ステップ4:基本手当の受給が始まったら連絡する
扶養から外れる必要がある場合は速やかに届け出ます。放置すると、後から医療費の返還を求められることがあります。