個別指導塾やオンライン家庭教師では、業務委託契約で講師を採用している場合があります。「雇用ではないから簡単には辞められない」と言われることがありますが、契約の名称だけで判断されるわけではありません。
契約の名称ではなく実態で判断される
労働基準法上の「労働者」にあたるかどうかは、契約が請負・委任という形式であっても、実態から総合的に判断されます。
厚生労働省は「使用従属性」という考え方で判断するとしており、次の2点が基本です。
- 1 労働が他人の指揮監督下において行われているか(他人に従属して労務を提供するか)
- 2 報酬が「指揮監督下における労働」の対価として支払われているか
この判断基準は労働基準法研究会報告(昭和60年12月19日)で整理されたもので、裁判実務でも用いられています。
労働者と判断されやすい働き方
塾講師の場合、次のような実態があれば労働者性が認められやすくなります。
- 授業の依頼を断る自由が実質的にない
- 授業の進め方や使用教材を塾が指定している
- 出勤時間・場所が決められている
- 自分の代わりに他の人を行かせることができない
- 報酬が時間単位(コマ単価)で計算されている
- 欠勤すると報酬が減る
これらに当てはまる場合、契約書の名称が「業務委託契約書」であっても労働基準法上の労働者として扱われる可能性があります。労働者であれば、民法627条1項により解約の申入れから2週間で契約を終了できます。
純粋な業務委託の場合
実態としても業務委託であれば、契約書の解約条項に従います。
- 解約の申入れ期間(「1か月前までに通知」など)
- 契約期間の定めがあるか
- 中途解約の際の取り決め
契約書を確認し、定められた期間の前に書面で通知してください。
「違約金を払え」と言われたら
労働者にあたる場合、労働基準法16条により、労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定したりする契約は禁止されています。
実態が労働者であるにもかかわらず違約金を請求された場合は、労働基準監督署に相談してください。厚生労働省は労働者性に疑義がある方の相談窓口を労働基準監督署に設置しています。
相談先
- 労働基準監督署: 労働者性の判断、違約金の請求について
- 総合労働相談コーナー: 各都道府県労働局に設置
契約書、報酬の明細、シフトの指示が分かるやり取りを持参すると相談がスムーズです。