塾講師の引き継ぎは、生徒一人ひとりの学習状況を後任に伝える作業です。事務的な業務引き継ぎとは性質が異なります。

引き継ぎ資料に含めるもの

生徒ごとの学習状況

  • 使用教材と現在の進度(単元・ページ)
  • 得意分野と苦手分野
  • 定期テスト・模試の成績推移
  • 志望校と現在の到達度
  • 宿題の提出状況

指導上の配慮点

  • 集中が続く時間の目安
  • つまずきやすい単元と、その際に有効だった説明の仕方
  • 質問しやすい雰囲気の作り方

これは後任の講師が最初の数回で試行錯誤する部分です。書き残しておくと生徒の負担が減ります。

保護者対応の経緯

  • 直近の面談で伝えた内容
  • 保護者から要望を受けている事項
  • 連絡の頻度と方法

保護者との約束事を引き継がないと、後任が同じ説明を求められて混乱します

個人情報の扱いに注意する

生徒の成績や家庭の事情は個人情報です。

  • 引き継ぎ資料は塾が指定する方法で作成・保管する
  • 個人のPCやクラウドに持ち出さない
  • 退職後に生徒・保護者の連絡先を保有しない

退職後に生徒を個人的に指導する目的で連絡先を持ち出すことは、契約違反になる可能性があります。雇用契約書や誓約書の内容を確認してください。

引き継ぎの進め方

  1. 1 教室長に引き継ぎの範囲と方法を確認する
  2. 2 生徒ごとの資料を作成する
  3. 3 後任が決まったら口頭でも申し送る
  4. 4 可能であれば後任と一緒に授業に入る回を設ける

後任が決まっていない場合でも、資料は残しておきます。誰が引き継いでも使える形にしておくことが重要です。

引き継ぎを理由に退職日を延ばされたら

「後任が見つかるまで辞められない」と言われることがありますが、後任の確保は塾側の責任です。退職の意思表示が到達していれば、期間の定めのない雇用契約は2週間の経過で終了します。

引き継ぎ資料を作成して渡す、という形で誠意を示したうえで、退職日は当初の予定どおり進めて問題ありません。