給与・待遇が退職理由のとき
待遇を理由に転職することは後ろめたいものと受け取られがちですが、 統計では男性の転職理由として最も多い部類に入ります。 このページでは、実際にどれだけの人が待遇を理由に転職し、 転職後に賃金がどう変わったのかを確認したうえで、 面接での伝え方と条件を確認する方法を整理します。
このページで参照している公式情報・法令
- 厚生労働省 令和6年雇用動向調査(転職入職者の状況・PDF)
- 労働基準法15条(労働条件の明示)
- 厚生労働省 2024年4月から労働条件明示のルールが変わります
待遇を理由に辞めた人の割合
| 年齢階級 | 男 | 女 |
|---|---|---|
| 19歳以下 | 7.9 | 10.3 |
| 20〜24歳 | 12.5 | 7.6 |
| 25〜29歳 | 16.9 | 7.9 |
| 30〜34歳 | 11.7 | 7.6 |
| 35〜39歳 | 11.8 | 7.7 |
| 40〜44歳 | 10.5 | 15.1 |
| 45〜49歳 | 14.3 | 12.5 |
| 50〜54歳 | 9.5 | 5.5 |
| 55〜59歳 | 9.0 | 6.7 |
| 計 | 10.1 | 8.3 |
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表5「給料等収入が少なかった」(単位:%)
男性では25〜29歳の16.9%が最も高く、 女性では40〜44歳の15.1%が最も高くなっています。 前年と比べると男女とも上昇しており、男性は1.9ポイント、女性は1.2ポイント増えました。
転職して賃金は上がったのか
同じ調査から、転職した人の賃金が前職と比べてどう変わったかを年齢階級別に見た数値です。
| 年齢階級 | 増加 | 減少 | 増加-減少 |
|---|---|---|---|
| 19歳以下 | 48.8 | 11.9 | +36.9 |
| 20〜24歳 | 50.5 | 16.8 | +33.7 |
| 25〜29歳 | 46.3 | 29.2 | +17.1 |
| 30〜34歳 | 46.1 | 24.2 | +21.9 |
| 35〜39歳 | 45.5 | 24.3 | +21.2 |
| 40〜44歳 | 45.9 | 29.0 | +16.9 |
| 45〜49歳 | 46.4 | 23.8 | +22.6 |
| 50〜54歳 | 39.0 | 28.2 | +10.8 |
| 55〜59歳 | 27.4 | 36.6 | -9.2 |
| 60〜64歳 | 13.6 | 60.9 | -47.3 |
| 65歳以上 | 23.7 | 40.5 | -16.8 |
| 計 | 40.5 | 29.4 | +11.1 |
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表6(単位:%/増加-減少はポイント)
全体では増加が減少を11.1ポイント上回りますが、年齢による差が大きいことがわかります。 20〜24歳では33.7ポイント増加が上回る一方、55〜59歳以上の階級では減少が増加を上回ります。 60〜64歳では減少が60.9%に達し、定年後の再雇用等が含まれることが影響していると考えられます。
なお、就業形態別に見ると、雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では 増加が減少を16.3ポイント上回っており、全体の数値より差が大きくなっています。
面接での伝え方
待遇が理由であることを隠す必要はありません。 ただし金額の話だけで終えると、なぜその会社なのかが伝わりません。 次の順で組み立てると、待遇の話が実績の話とつながります。
- 前職で担ってきた業務と、その成果を具体的に述べる
- その水準の仕事に対して、評価や処遇の仕組みがどうだったかを事実として述べる
- 応募先の事業や制度のどこに合っていると考えたかを述べる
2番目は不満の表明ではなく、事実の説明です。 たとえば「等級が上がる要件が明示されておらず、担当領域が広がっても処遇に反映されなかった」 といった形であれば、聞き手は制度の話として理解できます。
全体の組み立て方は面接での退職理由の伝え方にまとめています。
条件は書面で確認する
労働基準法15条1項は、使用者は労働契約の締結に際して 労働者に対し賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。 賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、 省令で定める方法により明示しなければならないとされています。
2024年4月からは明示すべき事項が追加され、 すべての労働者に対して就業場所・業務の「変更の範囲」の明示が必要になりました。有期契約の場合は更新上限の有無と内容も明示事項です。 将来の配置転換の見込みまで含めた範囲が示されるため、 提示された書面は入社前に確認してください。
労働基準法15条2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は即時に労働契約を解除することができると定めています。さらに同条3項は、就業のために住居を変更した労働者が 契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、 使用者は必要な旅費を負担しなければならないとしています。
条件を比べるときは、月給だけでなく賞与・手当・残業代の扱いを含めた 年間の総額で見てください。固定残業代が含まれている場合は、 何時間分が含まれているかを必ず確認します。
よくある質問
Q. 現在の年収を正確に伝える必要がありますか?
源泉徴収票で確認できる金額なので、実際と異なる額を伝えると入社手続きで食い違いが生じます。 入社時に前職の源泉徴収票を提出することになるため、事実に沿って伝えてください。 提出書類については転職先に提出する書類一覧をご覧ください。
Q. 転職後すぐは手取りが減ることがありますか?
あります。住民税は前年の所得に対して課税されるため、 前職の所得に基づく住民税が新しい給与から引かれます。 また賞与の支給要件を満たすまで時間がかかることもあります。詳しくは転職先で住民税の特別徴収を続ける手続きをご覧ください。
Q. 退職金がない会社から転職する場合は?
退職給付制度がある企業の割合は74.9%(令和5年就労条件総合調査)で、 約4社に1社は制度がありません。転職先を比べるときは 退職金制度や企業年金の有無も含めて確認してください。退職金がない会社は違法かで解説しています。