生活相談員は、支援の仕事でありながら、施設の稼働と収支に直結する立場でもあります。空きが出れば埋める、退所が続けば数字で問われる。この二重の役割が、負担の正体になっていることがあります。
何がつらいのかを分ける
「相談員を辞めたい」の中身は、人によって違います。まず分けてください。
| つらさの中身 | 打てる手 |
|---|---|
| 数字で詰められる | 記録を残し、上長・法人本部に事実を上げる |
| 支援と営業の板挟み | 役割分担の見直しを提案する |
| 家族対応が重なる | 複数対応の体制、記録の共有を求める |
| 業務量そのものが多い | 業務の棚卸しと、他職種への分担 |
| 施設の方針が合わない | 施設を変える(相談員は辞めない) |
「相談員を辞める」と「この施設を辞める」は別の判断です。
数字で詰められているとき
稼働率の目標を示されること自体は、施設運営としてありえます。問題になるのは、達成できないことを個人の責任として扱われる場合です。
- 入所の判断は、本人と家族の意思、要介護度、医療的な条件で決まる
- 相談員が1人で埋められるものではない
- 退所の理由の多くは、入院、施設変更、逝去といった相談員の外にある
これらは、記録に残すことで初めて共有されます。問い合わせ件数、見学の件数、断られた理由。数字で説明できる材料を持っておくと、話の土俵が変わります。
記録の残し方
口頭で詰められた内容も、記録に残す価値があります。人格を否定する言い方や、達成不可能な要求が繰り返されている場合、それはパワーハラスメントに当たる可能性があります。
- いつ、どこで、誰から、どのような言い方をされたか
- その場に他に誰がいたか
- 自分の体調にどう影響したか
労働施策総合推進法により、事業主には職場におけるパワーハラスメントの防止措置を講じる義務があります。施設内に相談窓口があるはずなので、まずそこへ、なければ法人本部や自治体の労働相談窓口へ持ち込んでください。
板挟みが構造的なとき
現場からは「これ以上受けられない」と言われ、経営からは「埋めろ」と言われる。この板挟みは、相談員個人の調整能力の問題ではなく、施設の体制の問題です。
- 受け入れの可否を判断する会議に、現場の職員が入っているか
- 判断の基準が文書化されているか
- 相談員が1人で決めていないか
「決めるのは自分ではない」という形に持ち込むことが、負担を減らす現実的な方法です。判断の場を作る提案をしてみてください。
体調に出ているとき
眠れない、食欲がない、朝になると動悸がする。こうした状態が続いているなら、辞めるかどうかの判断より先に受診してください。
在職中の傷病であれば、健康保険の傷病手当金の対象になる可能性があります。退職後に発症したものは対象になりません。就業規則に定めがあれば、休職という選択肢もあります。順番によって使える制度が変わります。
辞める判断をしてよいとき
次のいずれかに当てはまるなら、辞める判断は妥当です。
- 相談・提案をしたが、施設の対応が変わらない
- 体調に影響が出ており、受診しても改善の見込みが立たない
- 支援として納得できない対応を求められている
相談した記録が残っていることは、退職理由を説明するときにも役に立ちます。
まとめ
- 「相談員を辞める」と「この施設を辞める」を分ける
- 稼働の数字は、記録があってはじめて共有できる
- 人格否定や達成不可能な要求は、記録に残して相談窓口へ
- 体調に出ているなら、退職より先に受診する