以下は、生活相談員が板挟みの負担から退職に至る場合にたどることの多い流れを、ケース例として組み立てたものです。特定の個人の記録ではありません。判断の順番と、確認すべきことの参考として読んでください。
状況
通所介護の生活相談員として5年。相談員は自分1人。現場からは「これ以上は受けられない」、経営からは「稼働率を上げろ」と言われる。受け入れの可否を1人で判断している状態が続き、夜に眠れない日が増えた。
最初にやったこと:つらさを分解する
書き出してみると、次のようになった。
- 受け入れの判断を1人でしている
- 断ると経営から理由を問われ、受けると現場から不満が出る
- 家族対応が重なる時期に、記録が追いつかない
- 相談員としての仕事(本人と家族の話を聞くこと)に時間が使えていない
「相談員の仕事が嫌」ではなく、「決める場がないこと」が負担の中心だと分かった。
次にやったこと:体制の提案
管理者に、受け入れの可否を決める会議を設けることを提案した。現場のリーダーと管理者が入り、判断の基準を文書にする、という内容。
結果は、「今は人が足りないので難しい」。この時点で、施設側でできることはない、とはっきりした。提案とその回答は、日付とともにメモに残した。
体調への対応を先に済ませた
眠れない状態が続いていたため、辞める判断より先に受診した。診断を受け、記録が残った。
在職中の傷病であれば、健康保険の傷病手当金の対象になる可能性がある。退職後に発症したものは対象にならない。この順番を先に確認した。
在職中に確認したこと
| 確認したもの | 分かったこと |
|---|---|
| 有給休暇の残日数 | 数日残っていた |
| 就業規則の退職申し出期限 | 1か月前 |
| 実務経験証明書 | 介護支援専門員の受験に使うため事前に依頼 |
| 卒業証明書 | 社会福祉主事任用資格の要件を示すため取り寄せ |
実務経験証明書と卒業証明書を在職中に手配したのが効いた。退職後だと、担当者が代わり、大学への請求にも時間がかかる。
退職の申し出
退職届を書面で出し、控えを残した。申し出から退職日までは2か月とった。1人職場のため、引き継ぎ書を作る時間が必要だった。
「後任が決まるまで待ってほしい」と言われたが、退職日を先に決めて書面で伝えていたため、話は引き継ぎの中身に移った。
引き継ぎで残したもの
- 利用者ごとのキーパーソンと、連絡がつく時間帯
- 過去の苦情対応の経緯と、そのときの回答
- 関係機関の担当者名と、やりとりの経過
- 契約書・重要事項説明書の保管場所と、更新の時期
- 年間の流れ(行事、契約更新、運営指導の時期)
手帳にしか書いていなかったことを、記録と引き継ぎ書に移す作業がいちばん時間を取った。
次を選ぶときに見たこと
- 相談員が複数いるか、1人職場か
- 受け入れの判断を誰がするか
- 記録の時間が業務時間の中に確保されているか
- 処遇改善の加算がどう配分されているか
求人票では分からないため、面接で聞いた。聞いて曖昧な答えしか返らない施設は、入ってからも曖昧なままだと判断した。
このケースから読み取れること
- つらさを分解すると、「決める場がない」など具体的な問題が見える
- 提案と回答を記録に残すと、辞める判断の裏づけになる
- 体調への対応(受診)は、退職より先に済ませる
- 証明書類は在職中に手配する