相談援助の引き継ぎは、記録に残っていない部分をどう伝えるかが要点です。
引き継ぎ書に書くこと
ケースごとの基本情報
- 相談の経緯と現在の状況
- 支援計画と、その根拠になっているアセスメント
- 利用しているサービス、関わっている機関
- キーパーソンと、連絡がつく時間帯
経過とその背景
- 支援方針が今の形になった経緯
- 過去に試して合わなかった方法と、その理由
- 本人が拒否していること、こだわっていること
- 家族間の関係性と、触れないほうがよい話題
- 関係機関との調整で難しかった点
「なぜそうなっているか」は記録に残りにくく、引き継ぎで最も抜けやすい部分です。ここが伝わらないと、後任が同じ失敗を繰り返します。
期限のあるもの
- 更新・更新申請の時期(各種制度の受給、手帳、認定など)
- 会議の予定
- 提出書類の期限
緊急性の高いケース
- 虐待の疑いがあり見守っているケース
- 自傷他害のおそれがあるケース
- 生活の困窮が進行しているケース
これらは最優先で、口頭でも重ねて伝えてください。
本人・家族への伝え方
いつ、どう伝えるかは上司と相談してから行ってください。
相談援助では、支援者との関係そのものが支援の基盤になっていることがあります。担当が変わることが本人に与える影響を見込んで、時間をかけて伝える必要があるケースもあります。
後任と一緒に面談して引き継ぐのが望ましい形ですが、体制によります。
個人情報は持ち帰らない
社会福祉士及び介護福祉士法46条、精神保健福祉士法40条により、守秘義務は資格者でなくなった後も続きます。
- 記録、資料、連絡先を持ち出さない
- 私物の端末に保存したものを整理する
引き継ぎ書に個人情報を含める場合、それは施設内の書類として施設に残すものです。
関係機関への連絡
担当が変わることを、関係機関にも伝える必要があります。
- 市区町村の担当課
- 医療機関
- サービス事業所
- 学校、職場(関わっている場合)
誰に、いつ、どう伝えるかを上司と整理してください。
引き継ぎが終わらないと言われたら
引き継ぎが終わらないことを理由に退職を拒むことはできません。期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条1項により解約の申入れから2週間の経過で退職できます。
引き継ぎ書を作成し、提出した記録を残しておいてください。
「見捨てるようで申し訳ない」と感じるとき
相談援助職は、この感情を強く持ちやすい職種です。
ただし、担当が変わることは制度上想定されていることです。丁寧に引き継げば支援は続きます。
自分が消耗しきってから辞めるほうが、引き継ぎの質は落ちます。判断できるうちに辞めるほうが、利用者にとっても影響が小さくなります。