相談援助職は、利用者の生活史、家族関係、経済状況、疾患といった極めて私的な情報に触れます。守秘義務は退職しても消えません。
社会福祉士及び介護福祉士法46条
社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。
出典: 社会福祉士及び介護福祉士法46条
精神保健福祉士法40条
精神保健福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。精神保健福祉士でなくなった後においても、同様とする。
出典: 精神保健福祉士法40条
どちらも「でなくなった後においても、同様」と明記されています。
実際に気をつけること
ケース記録を持ち出さない
- 相談記録、アセスメントシート、支援計画
- ケース会議の資料
- 利用者・家族の連絡先
「自分が担当したケースだから」「勉強のため」という理由も通りません。
私物のスマートフォンやパソコンに保存したものがある場合は、退職前に削除してください。
転職の面接
前職の経験を説明する際、特定のケースの内容に触れることはできません。
説明できるのは、扱った相談の種類、件数の規模、関わった機関といった一般的な範囲です。
事例発表・研究
在職中に取り組んでいた事例研究がある場合、退職後の扱いを確認してください。
- 施設の承認の範囲
- 本人の同意の範囲
- 匿名化の方法
- 施設名の使用
退職後に自分の判断だけで発表を進めることはできません。
SNS
支援の内容を、特定できない形であっても発信することには慎重であるべきです。地域や施設の規模によっては、特定される可能性があります。
「正当な理由」がある場合
条文は「正当な理由がなく」としています。法令に基づく通報や、生命・身体の保護のために必要な場合など、情報を共有すべき場面はあります。
たとえば虐待の通報は、関係法令により義務または努力義務とされている場合があります。判断に迷う場合は、所属の上司、市区町村の担当課、職能団体に相談してください。
「守秘義務があるから何も言えない」という判断が、かえって利用者を危険にさらすことがあります。
退職後に問い合わせが来たら
以前の担当ケースについて連絡が来ることがあります。自分で対応せず、施設の記録を確認してもらうよう案内してください。
利用者本人から個人の連絡先に相談が来た場合も同じです。現在の担当や相談窓口を案内してください。個人として支援を続けることは、記録に残らない支援になり、本人の不利益になります。