解雇予告手当はいくら?
解雇を告げられたとき、いつ付けで辞めることになるのか、 その間の賃金はどうなるのかは労働基準法20条に書かれています。30日前の予告か、30日分以上の平均賃金か、 その組み合わせかという構造です。
このページで参照している法令・資料
- 労働基準法20条1項〜3項(解雇の予告)
- 労働基準法21条(解雇予告の適用除外)
- 労働基準法12条1項・2項(平均賃金)
- 労働基準法19条2項(行政官庁の認定)
- 労働基準法22条2項(解雇理由証明書)
- 労働基準法114条・同法附則143条2項(付加金)
- ハローワーク 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
条文の構造
労働基準法20条1項(解雇の予告)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。 三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。 但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は 労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
そして同条2項が前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができると定めています。予告と手当は組み合わせられる、ということです。
| 予告のしかた | 支払われるべき予告手当 |
|---|---|
| 30日前に予告した | 予告手当は不要 |
| 20日前に予告した | 10日分以上の平均賃金 |
| 10日前に予告した | 20日分以上の平均賃金 |
| 予告なし(即日) | 30日分以上の平均賃金 |
条文はいずれも「30日分以上」「少くとも30日前」という書き方なので、 表の数字は下限です。就業規則でこれより手厚い定めがある場合はそちらによります。
平均賃金の計算
労働基準法12条1項
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた 賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。
注意したいのは「その期間の総日数で除した」という部分です。 労働日数ではなく暦の日数で割ります。 そのため、1日あたりの平均賃金は、月給を所定労働日数で割った額より小さくなるのが通常です。
最低保障(12条1項ただし書)
賃金が労働した日もしくは時間によって算定され、または出来高払制その他の請負制によって定められた場合は、 賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下回ってはなりません。 賃金の一部が月・週その他一定の期間によって定められている場合は、 その部分の総額を期間の総日数で除した金額と、上記の金額との合算額が最低保障になります。
なお12条2項により、賃金締切日がある場合は直前の賃金締切日から起算します。 月の途中で解雇された場合も、その月の途中からさかのぼるのではありません。
予告が不要とされる場合
20条1項ただし書は、次の2つを除外しています。
- 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合
- 労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合
重要なのは、これが会社の判断だけで決まるものではないという点です。 20条3項は19条2項を準用しており、天災事変等の場合はその事由について行政官庁の認定を受けなければなりません。
「懲戒解雇だから予告手当は出ない」と説明された場合も、 解雇そのものが有効かどうかという問題が別にあります。 労働基準法22条2項に基づいて解雇理由証明書を請求し、記載された理由を確認してください。 請求できるのは解雇の予告がされた日から退職の日までの間です。
試用期間中・短期雇用の場合
労働基準法21条は、次の労働者について20条の規定を適用しないと定めたうえで、 ただし書で適用されるようになる基準を示しています。
| 対象 | 適用されるようになる基準 |
|---|---|
| 日日雇い入れられる者 | 1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は適用される |
| 2か月以内の期間を定めて使用される者 | 所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は適用される |
| 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者 | 所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は適用される |
| 試の使用期間中の者 | 14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は適用される |
試用期間中でも、働き始めて14日を超えていれば解雇予告の規定が適用されます。 試用期間そのものの扱いは試用期間中の退職届で解説しています。
支払われない場合
解雇予告手当が支払われない場合は、労働基準法違反に関する窓口である労働基準監督署に相談してください。
また労働基準法114条は、20条に違反した使用者に対して、裁判所が、労働者の請求により、未払金と同一額の付加金の支払を命ずることができると定めています。 請求の期限は条文上「違反のあつた時から5年以内」ですが、 附則143条2項により当分の間3年と読み替えられます。
賃金の請求権の時効については退職後に未払い残業代を請求できる期間にまとめています。 退職時の賃金・金品の精算は退職時の給与・貸与品の精算をご覧ください。
よくある質問
Q. 解雇予告手当を受け取ると解雇を認めたことになりますか?
解雇の効力を争いたい場合は、受け取り方に注意が必要です。 争う意思があることを書面で明らかにしたうえで対応するなど、進め方は状況によって変わります。 解雇の有効性を争うことを考えている場合は、 受け取る前に労働基準監督署や弁護士に相談してください。
Q. 失業保険ではどう扱われますか?
ハローワークが示す特定受給資格者の範囲には 「解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者」が含まれています。 特定受給資格者に当たると受給資格の要件や所定給付日数が変わります。詳しくは特定受給資格者・特定理由離職者の範囲をご覧ください。
Q. 予告された日より前に次の仕事が決まりました
予告期間中は在職しているので、退職日の変更は会社との調整になります。 自分から先に辞める形にすると離職理由の扱いが変わる可能性があるため、 離職証明書にどう記載されるのかを確認してから決めてください。