転職活動で必ず問題になるのが、在職中に作ったものを自分の実績として見せてよいかです。

職務上作ったものの著作権は会社にある

著作権法15条は、職務著作について次のように定めています。

著作権法15条1項
法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

つまり、会社の指示で職務として作り、会社の名義で公表される著作物は、原則として会社が著作者になります。デザインした本人ではありません。

プログラムの著作物については、2項で公表名義の要件が外されています。

ポートフォリオに載せるには許諾が必要

著作権が会社にある以上、自分の判断で公開することはできません。

  • 会社に確認し、掲載の許諾を得る
  • 顧客案件の場合、顧客の許諾も必要になることがある
  • 未公開の案件、NDAの対象案件は原則として載せられない

「自分が作ったのだから自由に使える」という理解は誤りです。

現実的な進め方

在職中に確認する

退職前に、上司や法務に「ポートフォリオに載せてよい範囲」を確認してください。退職後だと、誰に聞けばよいか分からなくなります。

確認したい点は次のとおりです。

  • 掲載してよい案件はどれか
  • 顧客名を出してよいか
  • 画像を載せてよいか、URLのみか
  • 自分の担当範囲をどう書いてよいか

許諾は口頭ではなくメールなど記録に残る形でもらってください。

載せられない場合の書き方

許諾が得られない案件でも、守秘義務の範囲を超えない形で経験を説明することはできます。

書ける書けない
業種・規模(「大手小売のECサイト」)顧客名
自分の担当範囲と役割未公開のデザイン案
使用した技術・ツール社内の制作フローの詳細資料
課題と解決のアプローチ顧客から預かった素材

面接では、実物を見せられなくても、考え方を説明できれば評価されます。

転職先で使えるもの

  • デザインの考え方、設計の判断基準
  • ツールの操作スキル
  • 業務フローの知識

頭の中に残る一般的なスキルは自分のものです。制限されません。

個人的に作ったもの

職務としてではなく、完全に私的に作ったものは自分の著作物です。ただし、

  • 会社の設備・ソフトを使って作った
  • 業務時間中に作った
  • 業務と関連する内容

これらに当てはまると、職務著作と主張される余地が出ます。副業や個人制作をしている場合は、会社の設備と時間を使わないでください。

素材とライセンス

  • 有料素材のライセンスは会社が契約しているもの
  • フォントのライセンスも同様
  • 退職後に会社名義のライセンスで作った素材を使い回さない

独立する場合は、自分名義でライセンスを取り直す必要があります。