競業避止条項の確認

雇用契約書や誓約書に、退職後一定期間・一定範囲で競合する事業を行わない旨の条項が入っていることがあります。

こうした条項が常に有効というわけではありません。裁判では、期間・地域・対象業務の範囲、代償措置の有無などから、合理的な範囲かどうかが判断されます。職業選択の自由を過度に制限する内容は無効と判断されることがあります。

ただし一般論だけで進めるのは危険です。契約書に定めがある場合は、独立の準備を進める前に弁護士に相談してください。

顧客の引き継ぎは慎重に

在職中に、担当している顧客へ独立後の営業をかけることは、勤務先との関係で問題になります。

  • 在職中に「独立するので、そちらで続けませんか」と持ちかけない
  • 顧客リストを持ち出さない
  • 会社が把握していない状態で個別に連絡を取らない

退職後に、顧客が自分の判断で依頼してくることは自由です。在職中の働きかけが問題になります。

退職時の誓約書

退職時に、守秘義務や競業避止の誓約書へ署名を求められることがあります。

内容をよく読んでください。範囲が過度に広い場合、その場で署名せず持ち帰って確認することができます。

ポートフォリオの許諾

独立後は、実績を見せられるかどうかが受注に直結します。在職中に、載せてよい範囲を記録に残る形で確認してください。

開業の手続き

  • 税務署に開業届を提出する
  • 青色申告を選ぶ場合は、期限内に青色申告承認申請書を出す
  • 国民健康保険・国民年金への切り替え
  • 事業用の口座を分ける

青色申告承認申請書には提出期限があります。開業日からの期間が定められているため、税務署または国税庁の案内で確認してください。

ツールとライセンス

会社名義で使っていたものは、独立後は使えません。

  • デザインツールのライセンス
  • フォントのライセンス
  • 素材サイトの契約
  • ストックフォトのライセンス

自分名義で取り直す費用を、独立の初期費用に見込んでください。

健康保険と年金

方法内容
任意継続退職前の健康保険を最大2年間継続できる制度。保険料は全額自己負担
国民健康保険市区町村に加入する。保険料は前年の所得で決まる
家族の被扶養者になる収入の条件を満たす場合
文芸美術国民健康保険組合一定の団体に所属するデザイナー等が加入できる組合。加入条件は組合の規約による

任意継続には退職日の翌日から20日以内という申請期限があります。

文芸美術国保は、加入できる条件が組合の規約で定められています。自分が対象になるかは、組合に直接確認してください。

失業保険との関係

開業の準備をしている期間は「就職する意思と能力がある」状態とは扱われないことがあります。受給できるかどうかは、自分の状況をハローワークに正確に伝えて確認してください。