証券会社の退職では、辞めた後も続く制約があります。

顧客情報は持ち出せない

顧客の氏名、住所、資産状況、取引履歴は、厳格に保護されるべき情報です。

  • 顧客名簿、取引履歴を持ち出さない
  • 個人の携帯に顧客の連絡先を残さない
  • メモ、名刺のコピーも同様

不正競争防止法は営業秘密を保護しており、不正の利益を得る目的などでの使用・開示は責任を問われます。顧客リストはこれに該当し得ます。

金融商品取引業者には顧客情報の適正な取扱いを確保するための措置が求められており、社内規程はこれに基づいて作られています。

顧客の勧誘

在職中に、担当顧客へ転職先での取引を持ちかけることは、勤務先との関係で問題になります。

退職後に、顧客が自分の判断で連絡してくることは自由です。在職中の働きかけと、リストの持ち出しが問題になります。

疑われないためにも、持ち出さないことを徹底してください。

インサイダー取引の規制

金融商品取引法により、上場会社等の業務等に関する重要事実を職務に関して知った会社関係者は、その事実が公表されるまで、その会社の株式等の売買をしてはならないとされています。

証券会社の社員は、業務上、未公表の重要事実に触れる機会があります。

  • 引受・募集の案件
  • M&Aのアドバイザリー
  • 顧客企業の情報

会社関係者でなくなった後も、一定期間はこの規制の対象になります。退職したからといって自由に売買できるわけではありません。

自己の有価証券取引

証券会社では、社員の自己売買について社内規程で制限が設けられているのが一般的です。

  • 事前の届出・承認が必要
  • 短期売買の禁止
  • 特定の銘柄の売買禁止

退職時に、保有している有価証券について報告や整理を求められることがあります。規程を確認してください。

退職時の誓約書

守秘義務や競業避止の誓約書へ署名を求められることがあります。

内容をよく読んでください。範囲が過度に広い場合、その場で署名せず持ち帰って確認することができます。

競業避止条項が常に有効というわけではありません。裁判では、期間・地域・対象業務の範囲、代償措置の有無などから、合理的な範囲かどうかが判断されます。

外務員登録

外務員が退職等により職務を行わないこととなったときの届出は、会社が行うものです。本人が手続きするものではありません。

転職先では改めて登録を受けることになります。登録の状況は自分でも把握しておいてください。

資格の扱い

  • 証券外務員資格は、登録を離れても資格試験の合格実績が消えるわけではありません
  • ただし、外務員として職務を行うには登録が必要です
  • 資格の有効性や、再登録の要件は日本証券業協会の規則によります。協会または勤務先のコンプライアンス部門に確認してください