生活相談員は、運営指導のときに書類の説明役になることが多い職種です。そのため「指導が終わるまで辞められない」という空気が生まれやすくなります。

運営指導という呼び方

かつて実地指導と呼ばれていたものは、指導指針の改正により運営指導という呼び方になりました。現場では今も実地指導と呼ばれることがありますが、自治体の通知では運営指導と書かれます。

内容は、施設の運営が基準に沿っているかを、書類と現場で確認するものです。監査は、基準違反の疑いがあるときなどに行われる、より厳格な手続きです。

時期をずらすかどうかは、状況で決まる

指導の直前に相談員が抜けると、施設の準備は確かに大変になります。ただし、それは辞められない理由にはなりません。

判断の目安を整理します。

自分の状況考え方
体調を崩している時期を待たずに退職・休職を優先する
次の職場の入職日が決まっているその日程を優先する
時期を選べる余裕がある指導の直後など、区切りのよい時期を選ぶ
引き止めの理由に使われている退職日を先に決めて書面で伝える

「指導が終わるまで」は、期限のようで期限になりません。日程が延びれば、そのぶん先送りされます。時期に配慮するなら、自分から「○月末で退職します」と日付を示してください。

抜ける前にやっておくと施設が助かること

時期に配慮できる余裕があるなら、次を整えてから抜けると、残る人の負担が減ります。

  • 契約書・重要事項説明書の不足や署名漏れの確認
  • 相談記録の記載漏れの確認
  • 苦情対応の記録が、受付から結果まで追える形になっているか
  • 会議録、研修記録のうち、自分が担当した分の整理

これらは、自分が在職しているうちに直すほうが早く済みます。辞めた後に問い合わせを受けるより、先に片付けるほうがお互いに楽です。

「あなたがいないと指導を乗り切れない」と言われたとき

書類の説明ができる人が自分しかいない、という状態は、施設の体制の問題です。特定の職員しか把握していない状態を解消するのは、管理者の役割になります。

そのうえで、次のように区切ると話が進みます。

  1. 1 退職日を書面で伝える
  2. 2 その日までに引き継ぎ書と書類の整理を終えると示す
  3. 3 進捗を記録で共有する

退職の自由は民法627条1項で認められています。

民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

実務上は就業規則の申し出期限に沿うのが穏当ですが、期限のない引き延ばしに応じる義務はありません。

不正を求められたとき

指導の前に、記録の書き換えや、事実と異なる書類の作成を求められた場合は、別の問題です。

  • 求められた内容と、いつ誰から言われたかを記録に残す
  • 自分は応じない
  • 法人本部、指定権者である自治体の担当課に相談する

これに応じてしまうと、後で責任を問われるのは書いた本人です。辞めるかどうかより先に、応じないという判断を先に立ててください。

まとめ

  • 実地指導は現在、運営指導と呼ばれる
  • 「指導が終わるまで」は期限にならない。退職日を先に示す
  • 時期を選べるなら、書類の整理を終えてから抜けると負担が減る
  • 記録の書き換えを求められたら応じず、記録を残して外部に相談する