人事は、会社の方針を実行する立場でありながら、従業員から相談を受ける立場でもあります。この2つが対立するとき、負担が1人に集まります。
負担が集まりやすい場面
- 退職勧奨や整理解雇の実務を担当させられる
- 従業員から相談を受けたが、経営が対応しない
- ハラスメント相談の窓口が自分1人
- 労働時間の記録に問題があると分かっているが、変えられない
- 自分が説明した制度が、経営の都合で覆される
これは個人の力量の問題ではなく、役割の置かれ方の問題です。
法令違反に気づいたとき
人事は、会社の労務管理の問題にもっとも早く気づく立場です。
- サービス残業が常態化している
- 36協定の上限を超えている
- 社会保険に加入すべき人が未加入
- 有給の年5日取得義務が果たされていない
これらを指摘しても改善されない場合、記録を残してください。
- いつ、誰に、何を指摘したか
- どう回答されたか
- できればメールなど記録に残る形で
公益通報者保護法
公益通報者保護法により、一定の要件を満たす公益通報をしたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは禁じられています。
事業者には内部通報に適切に対応する体制の整備が求められており、事業規模によって義務か努力義務かが分かれます。
自社に内部通報窓口がある場合、その窓口が人事から独立しているかを確認してください。自分が窓口担当なら、その窓口は使えません。
ハラスメント相談を受ける立場のつらさ
労働施策総合推進法により、職場におけるパワーハラスメントの防止措置を講じることが事業主の義務とされています。相談体制の整備もその一部です。
相談を受ける側のケアは、制度上あまり手当てされていません。深刻な相談を繰り返し受けることは、それ自体が負担になります。
- 相談を1人で抱えない体制を提案する
- 外部の相談窓口(EAPなど)の導入を提案する
- 自分自身が産業医面談を受ける
在職中に残しておくもの
- 指摘した内容と日付
- 自分の労働時間の記録
- 業務量が過大であることを示す資料
辞めた後では集められません。
相談できる先
- 会社の内部通報窓口(人事から独立している場合)
- 都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)
- こころの耳(厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- 法テラス(収入等の条件を満たせば無料法律相談)
体調に出ているとき
眠れない、休日も仕事のことが頭から離れないといった状態が続いている場合は、辞めるかどうかを決める前に受診してください。
健康保険の傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けない期間の生活を支える制度です。制度の内容を一番よく知っている立場だからこそ、自分にも使ってください。