以下は、訪問介護から施設介護へ移る場合にたどることの多い流れを、ケース例として組み立てたものです。特定の個人の記録ではありません。判断の順番と、確認すべきことの参考として読んでください。
状況
登録ヘルパーとして5年。担当していた利用者が入院や施設入所で減り、月の訪問件数が読めなくなった。多い月と少ない月で収入が大きく変わり、生活の見通しが立たない。介護の仕事自体は続けたい。
最初にやったこと:辞める理由を分解する
「辞めたい」の中身を書き出すと、次のようになった。
- 収入が月ごとに変わり、見通しが立たない
- 訪問がない日の連絡がぎりぎりまで来ない
- 移動が多く、1日の拘束時間が長い割に、賃金に反映される時間が短い
- 利用者との関わり自体は苦ではない
「介護が嫌」ではなく「この働き方が続かない」だと分かった。この時点で、事業所を変えるか、働き方を変えるか、という2つの方向が見えた。
次にやったこと:事業所に相談する
サービス提供責任者に、常勤への変更が可能かを相談した。事業所からは「常勤の枠が空いていない」との回答。あわせて、訪問件数を増やす見込みも立たないと言われた。
この相談をしたことで、「事業所側でできることはない」とはっきりした。辞める判断の材料になり、後で退職理由を説明するときにも使えた。
在職中に確認したこと
辞めると決めてから、退職日までに次を確認した。
| 確認したもの | 分かったこと |
|---|---|
| 有給休暇の残日数 | 比例付与で数日残っていた |
| 雇用保険の加入 | 給与明細の控除欄で加入を確認 |
| 実務経験証明書 | 介護福祉士の受験に使うため事前に依頼 |
| 貸与品と鍵 | 利用者宅の鍵を2本預かっていた |
実務経験証明書を在職中に頼んだのが、いちばん効いた。退職後だと担当者が代わり、記録を探すところから始まる。
退職の申し出
退職届を書面で出し、控えを手元に残した。登録ヘルパーは事業所に顔を出す頻度が低く、口頭だけだと「聞いていない」という行き違いが起きやすい。
申し出から退職日までは1か月半とった。担当していた利用者の訪問予定を組み替えるのに、それくらいはかかると見込んだ。
利用者への伝え方
事業所とケアマネジャーに話が通り、後任が決まってから、事業所と一緒に利用者へ伝えた。先に自分から伝えなかったのは、「次に誰が来るのか」が決まっていない段階で話すと、利用者の不安だけが残るため。
後任とは1回同行し、声のかけ方や、家族が触れてほしくない話題を口頭で伝えた。手順書には書ききれない部分だった。
次を決めるときに見たこと
施設介護を選ぶにあたって、次を確認した。
- 夜勤の有無と回数
- 月給か時給か、賞与の有無
- 社会保険の加入
- 職員の人数と、1人あたりの担当
訪問と施設では、つらさの質が変わる。移動と1人での判断がなくなる代わりに、職員間の関係と夜勤が入る。ここを納得したうえで決めた。
退職後の手続き
- 健康保険の切り替え(国民健康保険か任意継続かを市区町村の窓口で確認)
- 離職票を受け取り、次の就職までの期間に応じて手続き
- 源泉徴収票を受け取り、年末調整または確定申告に使う
このケースから読み取れること
- 辞めたい理由を分解すると、辞める以外の選択肢が見える
- 相談した記録は、辞める判断の裏づけになる
- 実務経験証明書は在職中に頼む
- 利用者に伝えるのは、後任が決まってから