訪問介護では、利用者宅から次の利用者宅への移動時間や、訪問と訪問の間の待機時間の扱いが問題になりやすくなります。
移動時間の考え方
厚生労働省は、訪問介護の労働時間について、事業場や利用者宅の間の移動時間は、使用者が指揮命令できる時間であれば労働時間にあたるという考え方を示しています。
移動そのものが業務の一部として組み込まれていて、その時間を自由に使えないのであれば、労働時間として賃金の対象になります。
一方、次の訪問まで長時間空いていて、その間は自由に過ごしてよいという場合は、労働時間とは扱われないことがあります。
判断のポイント
- 移動の経路や時間帯が指定されているか
- 移動中に事業所や利用者からの連絡に対応する必要があるか
- 待機中に事業所へ戻る必要があるか
- 待機時間を自分の用事に自由に使えるか
「実態がどうか」で判断されます。契約書に「移動時間は労働時間としない」と書いてあっても、実態が指揮命令下にあれば労働時間です。
記録を残す
賃金の問題を後から確認するには、記録が必要です。
- 訪問開始・終了の時刻
- 移動の開始・到着の時刻
- 待機した時間と、その間に何をしていたか
- 給与明細(どの手当がいくら支払われているか)
在職中でないと集められません。辞めることを考え始めた段階で、手元に残しておいてください。
キャンセルになったとき
利用者の都合でサービスがキャンセルになった場合、すでにシフトが確定していたのであれば、休業手当の対象になることがあります。
労働基準法26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、平均賃金の6割以上の手当を支払わなければならないと定めています。
労働基準法26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
利用者のキャンセルが「使用者の責に帰すべき事由」にあたるかは事情によりますが、代わりの業務を用意せずに一方的に休ませた場合は問題になり得ます。
相談先
- 労働基準監督署(賃金の未払い、労働時間の問題)
- 都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)
未払いの賃金は退職後でも請求できます。ただし時効があるため、放置しないでください。