医師が勤務先を変わるとき、本人が出す届出と、医療機関が出す届出が混在します。ここを混同すると「自分がやるべきこと」を取りこぼします。
医師免許そのものは返納しない
医師免許は個人に与えられた資格です。退職しても免許に影響はなく、勤務先に返す性質のものではありません。免許証の原本は本人が保管します。
勤務先に免許証の写しを提出している場合、その写しの扱いは勤務先の規程によります。
保険医の登録
保険診療を行う医師は保険医としての登録を受けています。登録は個人単位ですが、どの保険医療機関に勤務しているかは医療機関側から地方厚生局へ届け出るのが基本です。
勤務先が変わるときに本人の対応が必要かどうかは、登録した地方厚生局や勤務先の事務部門によって案内が異なります。退職が決まったら、事務長または医事課に「保険医の届出でこちらがやることはありますか」と確認してください。自己判断で放置しないことが重要です。
麻薬施用者免許
麻薬を施用・施用のために交付する医師は、都道府県知事の麻薬施用者免許を受けています。
麻薬及び向精神薬取締法により、免許証の記載事項に変更があったときや、免許が失効したときには届出が必要とされています。勤務先の変更に伴う扱いは、免許を受けた都道府県の薬務主管課が案内しています。
退職前に、薬剤部または都道府県の担当課へ確認してください。麻薬の管理は法令上の要求が厳しい領域で、手続き漏れは後で問題になります。
管理者(院長)を務めている場合
医療機関の管理者は、医療法上、開設許可・届出の事項です。管理者が変わるときは医療機関から都道府県知事等への変更の届出が必要になります。
これは医療機関側の手続きですが、後任の管理者が決まらないと退職日を動かせないことがあります。管理者を務めている場合は、通常より早い時期に申し出てください。
学会・専門医制度
- 専門医の更新要件(勤務実績、症例、講習)に空白期間が影響しないか
- 施設認定に紐づく症例登録の扱い
- 指導医として登録している場合の後任
専門医の更新条件は制度ごとに異なります。所属学会の最新の規程を自分で確認してください。
退職時に受け取る書類
- 離職票(雇用保険。転職先が決まっていても受け取っておくと安全)
- 源泉徴収票
- 年金手帳・基礎年金番号通知書(預けている場合)
- 健康保険資格喪失証明書
- 退職証明書(求めれば交付されます)
労働基準法22条により、使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由について証明書を請求すれば、使用者は遅滞なく交付しなければならないとされています。