歯科技工士は納期に追われやすく、長時間労働が退職理由になりやすい職種です。
労働時間の上限
労働基準法32条により、労働時間は1日8時間、1週40時間が原則です。これを超えて働かせるには、労使協定(36協定)の締結と届出が必要になります。
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。特別条項を結んだ場合でも、年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満といった上限があります。
自分の職場に36協定があるか、その内容がどうなっているかは、事業場で周知されているはずです。確認してください。
割増賃金
時間外労働には2割5分以上、深夜(22時〜翌5時)には2割5分以上、休日労働には3割5分以上の割増賃金が必要です。
月60時間を超える時間外労働については、5割以上の割増率が適用されます(この扱いは中小企業にも適用されています)。
出来高給・歩合給の場合
歯科技工士は出来高給や歩合給で働いていることがあります。出来高給であっても、労働者である限り労働時間の規制と割増賃金の対象になります。
出来高払制の場合の割増賃金の計算方法は、労働基準法施行規則で定められています。「歩合だから残業代は出ない」という説明は誤りです。
在職中に残しておく記録
辞めた後では集められません。
- 出勤・退勤の時刻(自分でも毎日メモする)
- タイムカード・勤怠システムの記録の写し
- 給与明細
- 雇用契約書、就業規則の写し
- 36協定の内容
勤怠を打刻していない職場では、自分のメモが唯一の記録になります。通勤の交通系ICカードの履歴や、業務メールの送信時刻も補強材料になります。
相談先
- 労働基準監督署(労働時間・割増賃金の問題)
- 都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)
- 法テラス(収入等の条件を満たせば無料法律相談)
未払いの割増賃金がある場合、退職後でも請求できます。ただし時効があるため、放置しないでください。
体調に出ているとき
腰痛・頸肩腕障害、視力の低下、眠れないといった状態が続いている場合は、辞めるかどうかを決める前に受診してください。
健康保険の傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けない期間の生活を支える制度です。休職という選択肢を確認したうえで判断しても遅くありません。
働き方を変えるという選択肢
- 院内技工士(歯科医院勤務)に移る
- デジタル技工に特化した職場
- 材料メーカー・ディーラーの技術職
- 歯科技工士養成校の教員
技工所の働き方が合わないだけで、資格が活かせなくなるわけではありません。