ビルメンの引き継ぎは、「その建物でしか通用しない情報」を渡す作業です。マニュアルには書いていないことが大半を占めます。

設備の癖

  • 起動・停止の手順で、書面と違う実際のやり方
  • 調子が悪くなる条件(季節、天候、負荷)
  • 応急処置の方法
  • 「この音がしたらこの部分」という経験知

これがもっとも引き継ぎにくく、もっとも価値のある情報です。文書にする時間を確保してください。

過去の故障・修理の履歴

  • 過去に起きた不具合と、その原因・対処
  • 修理した箇所と、時期
  • 繰り返し発生している問題

「また同じことが起きたら、まずここを見る」という情報を残してください。

点検の手順と記録

  • 日常点検、定期点検の項目と頻度
  • 記録簿の様式と保管場所
  • 法定点検の時期と、依頼する業者

建築物衛生法に基づく空気環境の測定や、消防設備の点検など、法令で定められた点検の時期を一覧にしてください。

業者・メーカーの連絡先

  • 設備ごとの保守業者と担当者
  • 夜間・休日の緊急連絡先
  • 過去に対応してもらった経緯

個人の携帯に入っている連絡先を、現場の共有資料に移してください。退職後に自分に電話がかかってくる状態を残さないことが、双方のためになります。

建物の関係者

  • 管理会社の担当者
  • テナントの担当者と、要望の傾向
  • 清掃、警備など他の常駐業者との関係

「このテナントはこれに敏感」という情報は、後任がもっとも困る部分です。

鍵の管理

  • 鍵の本数と保管場所
  • どの鍵がどこを開けるか
  • 貸出の記録

鍵の引き継ぎは、確実に立ち会いのもとで行ってください。

図面と資料

  • 設備図面の保管場所
  • 更新されていない図面と、現況との相違
  • 竣工図と改修図の関係

「図面と現況が違う」箇所は、必ず記録してください。

返却するもの

  • 作業服、安全靴、ヘルメット
  • 管理室・機械室の鍵
  • 入館証、名札
  • 会社の携帯電話
  • 貸与された工具、測定器
  • 資格者証(会社が預かっている場合は返却を受ける)