理容業は独立が多い業種です。だからこそ、店とのトラブルも起きやすくなります。

競業避止条項の確認

雇用契約書や誓約書に、退職後一定期間・一定範囲で競合する店舗を出さない旨の条項が入っていることがあります。理美容では「半径○km以内」「退職後○年間」といった形で具体的に書かれていることが珍しくありません。

こうした条項が常に有効というわけではありません。裁判では、期間・地域・対象業務の範囲、代償措置の有無などから、合理的な範囲かどうかが判断されます。職業選択の自由を過度に制限する内容は無効と判断されることがあります。

ただし一般論だけで出店地を決めるのは危険です。契約書に定めがある場合は、物件を押さえる前に弁護士に相談してください。

顧客への声かけ

在職中に、担当客へ独立後の来店を促す行為はトラブルの原因になります。

  • 在職中に「独立するので、そちらに来てください」と言わない
  • 顧客名簿を持ち出さない
  • 店が把握していない状態で個別に連絡を取らない

退職後に顧客が自分の判断で来店することは自由です。在職中の働きかけと、名簿の持ち出しが問題になります。

理容所の開設手続き

理容師法により、理容所を開設しようとする者は、あらかじめ、開設の場所、構造設備その他必要な事項を都道府県知事に届け出なければならないとされています。

また、理容所を開設した者は、都道府県知事の検査を受け、理容師法の規定による構造設備の基準に適合する旨の確認を受けた後でなければ、その理容所を使用してはならないとされています。

開設の届出と検査には時間がかかります。内装工事のスケジュールと合わせて、開設予定地を管轄する保健所に早い段階で相談してください。

管理理容師

常時2人以上の理容師が理容の業務に従事する理容所については、管理理容師を置かなければならないとされています。

管理理容師になるには、理容師の免許を受けた後、一定期間の業務従事と、都道府県知事が指定した講習会の課程の修了が必要です。

要件の詳細は法令で定められており、改正されることがあります。保健所または都道府県の担当課で確認してください。

開業の手続き

  • 保健所への開設届と検査
  • 税務署に開業届を提出する
  • 青色申告を選ぶ場合は、期限内に青色申告承認申請書を出す
  • 国民健康保険・国民年金への切り替え
  • 事業用の口座と会計の準備

在職中にどこまで準備できるか

物件探しや資金調達の相談など、店の業務に支障のない範囲での準備は一般に問題になりません。

ただし、勤務時間中の準備や、店の設備・備品の使用、同僚の引き抜きは、在職中の義務との関係で問題になり得ます。