経理の引き継ぎは、月次で回っている業務と、年に1回しか発生しない業務の両方を渡す必要があります。
年間スケジュール
- 月次決算の締めスケジュールと、実際の作業手順
- 四半期・年次決算のスケジュール
- 納税・申告の期限(法人税、消費税、源泉所得税、住民税、償却資産税など)
- 年末調整、法定調書の作成時期
- 監査法人・顧問税理士とのやり取りの時期
「年に1回しか発生しない業務」がもっとも抜けやすい部分です。カレンダー形式で残してください。
仕訳のルール
- 勘定科目の使い分け(同じような取引でどう分けているか)
- 定期的に発生する仕訳と、その根拠資料
- 前任から引き継いだが理由が分からない処理があれば、その旨も伝える
「なぜこの科目にしているのか」が分からないと、後任は判断ができません。
システムと権限
- 会計システムのアカウントと権限
- 銀行のインターネットバンキングの権限(必ず承継の手続きをする)
- 電子証明書、電子申告のID
- 経費精算システムの管理者権限
銀行の権限とパスワードは、必ず正式な手続きで移してください。個人アカウントを使い回すのは、会社にとっても自分にとっても危険です。
印章の管理
- 会社印、銀行印、代表者印を誰が管理しているか
- 保管場所と鍵
- 使用時の承認ルール
印章の管理者が自分になっている場合は、退職前に正式に引き継いでください。
社外との窓口
- 顧問税理士、社会保険労務士
- 監査法人
- 銀行の担当者
- 主要取引先の経理担当
「この件はこの人に聞くとよい」という情報を、共有資料に移してください。
未処理の案件
- 未払い・未収の残っている取引
- 仮払い・仮受けの精算状況
- 係争中や交渉中の案件
- 税務調査で指摘され、対応中の事項
日付つきで、どこまで進んでいるかを残してください。
持ち出してはいけないもの
- 会計データ、試算表、決算書のファイル
- 給与・賞与の個人別データ
- 取引先の与信情報
- 銀行取引の明細
経理は会社の機密情報の中枢にいる職種です。「自分が作った資料だから」という理由での持ち出しは通りません。