タクシーは歩合給の割合が大きく、退職時の精算でもめやすい職種です。
まず賃金規程を確認する
- 歩合の計算方法(水揚げに対する率)
- 足切り(一定額に達しないと歩合が付かない仕組み)の有無と金額
- 各種控除(事故の負担、燃料費など)
- 賞与の支給条件
労働基準法106条により、使用者は就業規則を労働者に周知させなければならないとされています。見せてもらえない状態自体が問題です。
累進歩合制度について
厚生労働省は、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)に関連して、累進歩合制度を廃止することを求めています。
累進歩合制度とは、歩合給の歩率が水揚げの増加に応じて累進的に高くなる仕組みや、一定額に達しないと歩合給が支給されない仕組みなどを指します。
このような賃金体系は、運転者を極端な長時間労働や高速走行に駆り立てるおそれがあるため、廃止するよう指導されています。
自分の会社の賃金体系がこれに当たるかどうかは、賃金規程を見て判断してください。当たる可能性がある場合は、労働基準監督署に相談できます。
最低賃金は守られなければならない
歩合給であっても、最低賃金法は適用されます。
労働時間に対して、最低賃金額を下回る賃金しか支払われていない場合は違法です。
「歩合だから稼げないのは自分のせい」ではありません。最低賃金の計算方法は複雑なため、給与明細と勤務記録を持って労働基準監督署に相談してください。
割増賃金
歩合給であっても、時間外・深夜・休日の割増賃金は必要です。
出来高払制の場合の割増賃金の計算方法は、労働基準法施行規則で定められています。
「歩合だから残業代は出ない」という説明は誤りです。
事故の負担を求められたとき
事故を起こした場合に、修理費や免責額を給与から差し引かれることがあります。
労働基準法24条は、賃金は全額を支払わなければならないと定めています(法令や労使協定に基づく場合を除く)。
労働基準法24条1項
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
使用者が一方的に相殺することは原則としてできません。
労働者の過失による損害について、使用者が全額を負担させることも、裁判では制限される傾向があります。
退職時の精算
- 最後の乗務分の歩合がいつ支払われるか
- 締め日と支給日の関係
- 未精算の売上、釣銭、チケットの扱い
退職前に、最後の給与の計算方法と支給日を確認してください。
労働基準法23条により、退職の場合において権利者の請求があったときは、使用者は7日以内に賃金を支払わなければならないとされています。
記録を残す
- 日報の写し
- 給与明細(過去分も)
- 賃金規程、就業規則の写し
- 勤務時間の記録
在職中でないと集められません。
相談先
- 労働基準監督署(最低賃金、割増賃金、賃金控除の問題)
- 都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)