訪問介護を辞めたい理由が「介護そのものが嫌になった」ではなく、「この働き方が続けられない」なのであれば、辞める前に働き方を変えるという選択肢があります。
辞めたい理由を分解する
まず、何がつらいのかを分けてください。原因によって、打てる手が変わります。
| つらさの中身 | 変えられる可能性があるもの |
|---|---|
| 移動が多く、1日が長い | 訪問地域、1日の件数、時間帯 |
| 身体の負担(腰・膝) | 身体介護と生活援助の比率、福祉用具の活用 |
| 特定の利用者との関係 | 担当の組み替え |
| 収入が読めない | 常勤への変更、または掛け持ちの整理 |
| 事業所の方針が合わない | 事業所を変える(介護は辞めない) |
「介護を辞める」と「この事業所を辞める」は別の判断です。分けて考えると、選択肢が増えます。
常勤から登録へ、登録から常勤へ
常勤で働いていて時間の拘束がつらいなら、登録ヘルパーへの変更を相談する方法があります。逆に、登録で収入が安定しないことがつらいなら、常勤への変更を相談できます。
雇用契約の内容が変わるため、次の点を確認してください。
- 社会保険の加入がどうなるか
- 有給休暇の付与日数がどう変わるか
- 賃金の計算方法(時給か月給か、移動時間の扱い)
変更後の条件は、口頭ではなく書面で受け取ってください。労働条件の明示は労働基準法15条1項に定めがあります。
訪問の組み方を相談する
サービス提供責任者に、次のような相談ができます。
- 移動距離が長い組み合わせを見直してほしい
- 身体介護が連続する日を分散してほしい
- 早朝と夜間の両方に入る日を減らしてほしい
言わなければ、事業所は「回せている」と判断します。シフトを組む側は、1件ずつの負担までは見えていません。
腰や膝に負担が出ているとき
痛みがある状態で「気をつけて介助する」だけでは、負担は減りません。
- 福祉用具(スライディングシート、移乗ボード等)が使えないかケアマネジャーに相談する
- 住宅改修や用具の導入は、利用者の負担も関わるため、事業所を通して話を上げる
- すでに痛みが続いているなら、業務が原因の腰痛として労災保険の対象にならないか確認する
受診しないまま辞めると、労災の請求が難しくなります。痛みがあるうちに受診し、記録を残してください。
施設介護という選択肢
同じ法人が施設や通所を運営していれば、異動を相談できることがあります。訪問と施設では、負担の質が変わります。
| 訪問介護 | 施設介護 | |
|---|---|---|
| 判断 | 1人で決める場面が多い | その場に他の職員がいる |
| 移動 | 1日の多くを移動が占める | 建物内で完結する |
| 人間関係 | 利用者・家族と1対1が中心 | 職員間の関係が濃くなる |
| 時間 | 訪問ごとに区切られる | 交代制で夜勤が入ることがある |
移動と孤立がつらいなら施設、職員間の関係がつらいなら訪問、という向き不向きがあります。
それでも辞めると決めたら
働き方を変える相談をしたうえで、変わらない、あるいは変える気がないと分かったなら、辞める判断は妥当です。相談した記録が残っていることは、退職理由を説明するときにも役に立ちます。
まとめ
- 「介護を辞める」と「この事業所を辞める」を分けて考える
- 常勤と登録の変更、訪問の組み替えは相談できる
- 身体の痛みは、辞める前に受診して記録を残す
- 相談しても変わらなければ、辞める判断でよい