歯科は開業が多い領域です。だからこそ、勤務先とのトラブルも起きやすくなります。

競業避止条項の確認

雇用契約書や誓約書に、退職後一定期間・一定範囲で競合する医院を開設しない旨の条項が入っていることがあります。歯科では「半径○km以内」「退職後○年間」といった形で具体的に書かれていることが珍しくありません。

こうした条項が常に有効というわけではありません。裁判では、期間・地域・対象業務の範囲、代償措置の有無などから、合理的な範囲かどうかが判断されます。職業選択の自由を過度に制限する内容は無効と判断されることがあります。

ただし「無効になることが多い」という一般論だけで開業地を決めるのは危険です。契約書に定めがある場合は、物件を押さえる前に弁護士に相談してください。

患者への声かけ

在職中に、自分の開業先へ患者を誘導する行為はトラブルの原因になります。歯科は患者との距離が近く、退職を知った患者から「先生についていきたい」と言われることもありますが、在職中に自分から誘導しないことが安全です。

退職後に患者が自分の判断で受診するのは自由です。

持ち出してはいけないもの

  • 患者リスト、カルテ、口腔内写真、レントゲン
  • 医院で作成した説明資料やカウンセリング資料
  • 技工所・材料商社の担当者リスト
  • スタッフの連絡先

開業準備に必要な資料は、自分で一から作ってください。

スタッフの引き抜き

在職中に同僚の歯科衛生士・歯科助手へ移籍を持ちかける行為は、勤務先との関係で問題になり得ます。退職後に、相手から連絡があって話が進むのとは意味が違います。

開業手続きにかかる時間

開設には保健所への届出、地方厚生局への保険医療機関の指定申請などが必要です。指定の効力が発生する時期は申請の時期に左右されるため、開業予定日から逆算した計画が必要です。

手続きの運用は管轄によって異なります。開業予定地の保健所と地方厚生局に、早い段階で直接確認してください。

在職中にどこまで準備できるか

物件探しや資金調達の相談など、勤務先の業務に支障のない範囲での準備は一般に問題になりません。ただし勤務時間中の準備や、勤務先の設備・備品の使用は避けてください。