歯科の引き継ぎは、患者ごとの治療計画がどこまで進んでいるかを可視化する作業です。
患者ごとに整理する内容
- 主訴と診断名
- 治療計画の全体像と、現在どの段階か
- 使用している材料、選択した理由
- 患者に説明済みの内容と、了承を得ている範囲
- 自費診療の場合は、支払い済みの金額と残額
「なぜこの治療計画にしたのか」がカルテから読み取れる状態にしてください。後任が計画を立て直すと、患者は説明のやり直しを受けることになります。
技工物の手配状況
進行中の補綴があれば、技工所への発注状況を必ず残します。
- 発注済みか、いつ入る予定か
- 技工指示書の内容
- 再製作の有無とその経緯
技工物の入る時期と退職日がずれると、装着だけ後任に回ることになります。発注のタイミングを退職日から逆算して調整してください。
自費診療・保証の扱い
自費の補綴やインプラントには、医院ごとの保証期間が設定されていることがあります。担当医が退職した後の保証の扱いは、患者にとって重大な関心事です。
自分で回答せず、院長・法人と方針をすり合わせてから患者に伝えてください。
矯正患者
矯正は治療期間が長く、途中で担当が変わることの影響が大きい分野です。
- 現在のステージと次の調整予定
- 使用装置とワイヤーの推移
- 治療のゴールとして患者に説明している内容
医院内に後任がいない場合は、他院への紹介が必要になります。紹介先の確保には時間がかかるため、早い段階で院長と相談してください。
患者への伝え方
退職を患者にいつ伝えるかは、必ず医院と相談して決めます。独断で先に伝えると、予約の混乱や苦情につながります。
持ち出してはいけないもの
- 患者リスト、カルテのコピー、口腔内写真
- 技工指示書の控え
- スタッフの連絡先
開業予定がある場合は特に注意が必要です。患者情報の持ち出しは、勤務先の規程違反であると同時に個人情報保護法上の問題になります。