臨床工学技士の引き継ぎは、「自分の頭の中にしかない情報」を文書にする作業です。機器の癖やトラブルの前例は、記録がなければ後任が一から経験し直すことになります。
機器台帳
- 保有台数と設置場所
- 購入時期と耐用年数の目安
- 点検の周期と、直近の点検日
- 貸出中・修理中の機器の状況
台帳が最新でない状態で引き継ぐと、後任は棚卸しからやり直すことになります。退職が決まったら、まず台帳の現況を合わせてください。
保守契約
- 契約している業者と契約期間
- 契約の種類(フルメンテナンス、スポット対応など)
- 更新時期と担当窓口
- 契約に含まれる範囲と、含まれない範囲
契約の更新時期が退職後に来る場合は、その旨を明記して引き継いでください。
業者・メーカーの連絡先
- 機器ごとの担当営業・サービスの連絡先
- 夜間・休日の緊急連絡先
- 過去に対応してもらった経緯
個人の携帯に入っている連絡先を、部門の共有資料に移してください。退職後に自分に電話がかかってくる状態を残さないことが、双方のためになります。
トラブル対応の履歴
- 過去に起きた不具合と、その原因・対処
- 「この機種はここが弱い」という経験知
- 応急対応の手順
これがもっとも引き継ぎにくく、もっとも価値のある情報です。文書にする時間を確保してください。
業務手順
- 透析装置の始業・終業点検の手順
- 手術室・心カテの立ち会い準備
- 人工呼吸器の貸出と返却の流れ
- 院内研修(医療機器安全管理研修)の資料と実施実績
医療機器安全管理責任者を務めている場合
医療法により、病院等には医療機器の安全使用のための責任者を配置することが定められています。自分がこの責任者になっている場合は、後任の選任が必要です。
責任者の交代は施設側の手続きですが、後任が決まらないと退職日を動かせないことがあります。通常より早い時期に申し出てください。
持ち出してはいけないもの
- 患者情報を含む記録
- 院内で作成した手順書の原本(写しの扱いは施設の規程による)
- 業者との契約書
引き継ぎ資料は院内のシステムで作成・保管してください。