自動車整備は、重量物の扱い、無理な姿勢、油や溶剤への接触、夏と冬の温度差が続く仕事です。

労災の対象になり得るもの

腰痛

業務が原因で発生した腰痛は、労災保険の対象になり得ます。

厚生労働省は業務上の腰痛の認定基準を示しており、災害性の原因によるもの(重い部品を持ち上げた際に急に発症した場合など)と、災害性の原因によらないもの(重量物を扱う業務に相当期間従事した場合など)に分けて整理しています。

手の障害

工具の振動を扱う業務では、振動障害が業務上疾病として扱われる場合があります。

皮膚障害

油や溶剤による皮膚炎も、化学物質等による疾病として業務上疾病の範囲に含まれ得ます。

難聴

騒音下の業務による騒音性難聴も、業務上疾病として扱われる場合があります。

「整備士なら仕方ない」ではありません。症状が続いている場合は、労災の可能性を検討してください。

労災が認められると

  • 療養補償給付(治療費)
  • 休業補償給付(休業4日目から)

の対象になります。

申請は事業所を通じて行うのが一般的ですが、事業所が協力しない場合でも、労働者本人が労働基準監督署に直接申請できます。

記録を残す

  • いつから症状が出たか
  • どの作業で悪化したか
  • 受診の記録
  • 会社に相談した日と、その内容

在職中でないと集められません。

職場に求められていること

労働安全衛生法により、事業者には労働者の健康障害を防止する措置が求められています。

  • リフト、ジャッキ、台車を使う
  • 2人で運ぶ
  • 有機溶剤を扱う場合の換気と保護具
  • 騒音対策

「気合いで持つ」ではなく、設備と手順で解決すべき問題です。改善を求める根拠になります。

働き方を変えるという選択肢

  • フロント(サービスアドバイザー)に移る
  • 検査員として車検の実施に専念する
  • 部品担当、パーツ営業
  • 保険会社のアジャスター
  • 自動車教習所の整備担当
  • メーカーの技術サポート、教育担当

整備の知識と経験は、現場作業以外でも通用します。

相談先

  • 労働基準監督署(労災の相談・申請)
  • 都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)
  • 会社の産業医(規模により選任されています)

それでも辞める判断をするとき

体を壊してまで続ける仕事はありません。

辞める前に、労災の対象になる可能性がないかだけは確認してください。退職後だと申請が難しくなるものがあります。