労働基準監督署への申告
賃金が支払われない、残業が法律の上限を超えている。 こうした状態は、辞めるかどうかとは別に是正を求められる問題です。 そしてその申し出は、法律に根拠のある権利として定められています。
このページは労働基準法104条・115条の条文に基づいています。窓口は全国の労働基準監督署です。
条文が定めていること
104条1項(申告する権利)
事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
104条2項(不利益取扱いの禁止)
使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
監督署が扱うのは「労働基準法違反」
条文が申告の対象としているのはこの法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実です。 つまり労働基準法とその関係法令にかかわる事柄が中心になります。
監督署が扱う
- 賃金が支払われない
- 割増賃金が支払われていない
- 36協定の上限を超える時間外労働
- 就業規則が周知されていない
- 年次有給休暇を与えない
- 解雇予告手当が支払われない
総合労働相談コーナーが窓口
- いじめ・嫌がらせ
- 退職勧奨
- 労働条件の引下げ
- 配置転換をめぐる紛争
後者の手続きは総合労働相談コーナーと助言・指導・あっせんにまとめています。迷ったらどちらに相談しても、適切な窓口を案内してもらえます。
相談してから申告するかを決める
STEP 1
まず相談する(匿名でも可)
事情を説明し、それが法違反にあたるのか、どんな資料が必要かを確認します。この段階では会社に何も伝わりません。
STEP 2
資料を揃える
タイムカード、給与明細、労働条件通知書、就業規則の該当条項など。何が必要かは相談の段階で教えてもらえます。
STEP 3
申告する
労働基準法104条1項にもとづく申し出です。これを受けて監督署が調査や是正指導を行うことがあります。
在職中に資料を確保しておく
退職後でも申告はできますが、タイムカードの記録や業務用端末のログは、辞めるとアクセスできなくなります。 まだ辞めると決めていない段階でも、控えを取っておいてください。
また賃金の請求権には時効があります。労働基準法115条は、賃金の請求権を5年間としており、 同法附則により当分の間は3年間とされています。 時間が経つほど請求できる範囲は狭くなります。
未払い残業代の請求については未払い残業代を請求できる期間にまとめています。
離職理由の区分にも関係する
賃金の不払いや長時間の時間外労働は、 ハローワークが公表している特定受給資格者の範囲にも挙げられています。 申告するかどうかとは別に、失業保険の扱いが変わる可能性があるということです。
どの項目に当たりうるかは退職の判断ナビで確認できます。8問に答えると、公式の範囲の記載と照らし合わせた結果が出ます。
よくある質問
労働基準監督署はどんなことを扱いますか?
労働基準法とこれに基づく命令の違反にかかわる事柄です。賃金が支払われない、法定の上限を超える時間外労働をさせられている、割増賃金が支払われていない、就業規則が周知されていないといった問題が該当します。一方、いじめ・嫌がらせや労働条件の引下げのように、法違反とまでは言い切れない紛争は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが窓口になります。
相談と申告はどう違いますか?
相談は事情を聞いてもらい、どうすればよいかを教えてもらう段階です。匿名でもできます。申告は、労働基準法104条1項にもとづいて法違反の事実を申し出るもので、これを受けて監督署が調査や是正指導を行うことがあります。まず相談し、そのうえで申告するかを決めるという順序が一般的です。
申告したことが会社に知られると困ります
労働基準法104条2項は、使用者は申告をしたことを理由として労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならないと定めています。そのうえで、誰が申告したかを会社に伝えないよう配慮を求めることもできます。心配な点は相談の段階で伝えておいてください。なお同法違反には罰則が定められているものがあり、監督署は司法警察員としての権限も持っています。
退職した後でも申告できますか?
できます。ただし在職中にしか手に入らない資料があるため、退職前に控えを取っておくほうが確実です。タイムカードの記録や業務用端末のログは、退職後はアクセスできなくなるのが通常です。また賃金の請求権には時効があり、労働基準法115条により賃金の請求権は5年間(附則により当分の間3年間)とされています。