労働条件を一方的に下げられたとき
給与が下がった、手当がなくなった、勤務時間が変わった。 こうした変更を告げられて退職を考えはじめる人は少なくありません。 ただしその前に、その変更が合意にもとづくものだったかを確認する価値があります。労働条件の変更には原則として合意が必要だからです。
このページは労働契約法8条・9条の条文と、特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワーク)、令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況(厚生労働省)に基づいています。
条文はどう定めているか
労働契約法8条(労働契約の内容の変更)
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
労働契約法9条(就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
9条にはただし書があり、10条の場合は例外とされています。 就業規則の変更に一定の要件が満たされる場合の扱いを定めた規定です。 したがって「就業規則を変えたから常に無効」とも「常に有効」とも言えません。 ここは個別の事情によるため、争いがあるなら相談窓口で確認してください。
同意書にサインする前に確認する4つ
労働契約法8条が合意による変更を認めている以上、署名は「合意があった」と扱われる方向に働きます。 その場で求められても、持ち帰って確認すると伝えて構いません。
- ・何がどう変わるのか(金額・時間・業務内容を具体的に)
- ・いつから適用されるのか
- ・期間の定めがあるのか、元に戻る条件があるのか
- ・断った場合にどうなると説明されているか
賃金の低下は離職理由に影響する
ハローワークが公表している特定受給資格者の範囲には、賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下したことにより離職した場合が挙げられています。
この区分に当たると、失業保険の給付制限がかからず、 所定給付日数が手厚くなることがあります。 被保険者期間の要件も、原則の12か月ではなく6か月で満たせる場合があります。
判断の材料になるのは給与明細です。変更の前後を通して保管しておいてください。辞めてから取り寄せるのは手間がかかります。
同じことで相談している人は多い
厚生労働省が公表した令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況によれば、 都道府県労働局長による助言・指導の申出では「労働条件の引下げ」が1,103件で最多となっており、 前年度と比べて7.8%増加しています。
総合労働相談コーナーは無料で、予約なしでも利用できます。 助言・指導やあっせんにつなぐこともできます。手続きの流れは総合労働相談コーナーと助言・指導・あっせんにまとめています。
よくある質問
会社は勝手に給料を下げられるのですか?
原則としてできません。労働契約法8条は、労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができると定めています。合意によって変更するものだという建て付けです。さらに同法9条は、使用者は労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできないと定めています。ただし同条ただし書により、次条(10条)の場合は例外とされています。
同意書にサインを求められました
内容を確認せずに署名しないでください。労働契約法8条は合意による変更を認めているため、署名すれば合意があったと扱われる方向に働きます。何がどう変わるのか、いつから適用されるのか、元に戻る条件があるのかを書面で確認したうえで判断してください。その場で決めず持ち帰ると伝えて構いません。
賃金が下がったことは離職理由に影響しますか?
します。ハローワークが公表している特定受給資格者の範囲には、賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下したことにより離職した場合が挙げられています。この区分に当たると、失業保険の給付制限がかからず所定給付日数が手厚くなることがあります。給与明細は変更の前後を通して保管しておいてください。
どこに相談できますか?
都道府県労働局の総合労働相談コーナーです。厚生労働省が公表した令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況によれば、助言・指導の申出では「労働条件の引下げ」が1,103件で最多となっており、前年度比7.8%増加しています。同じことで相談している人は少なくありません。相談は無料で、予約なしでも利用できます。