有給休暇は法律上の権利
労働基準法39条により、雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には年次有給休暇が与えられます。事務所の規模や、就業規則の有無とは関係なく発生します。
「うちには有給の制度がない」という説明は誤りです。制度として定めていなくても、法律上は発生しています。
年5日の取得義務
年10日以上の有給が与えられる労働者については、そのうち年5日は使用者が時季を指定してでも取得させなければならないとされています。これは使用者側の義務です。
小規模事務所では管理されていないことがありますが、義務であることは変わりません。
使用者は時季をずらすことしかできない
労働基準法39条5項ただし書
ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
退職日が確定していてその後に「他の時季」がない場合、時季変更権を行使する先がありません。
繁忙期を避けた消化計画
会計事務所
- 1〜3月(確定申告期)は避ける
- 5月(3月決算の申告期限)も混む
- 6〜8月が比較的取りやすい
法律事務所
- 期日が入っている時期を避ける
- 提出期限の前後を避ける
- 事件の区切りに合わせる
退職前の進め方
- 退職日を決めた時点で、有給の残日数を確認する
- 「最終出勤日」と「退職日」を分けて設計する
- 担当先の引き継ぎを終える日を先に決める
繁忙期に退職日を置くと、有給を消化する余地がなくなります。退職日の設定と有給の消化はセットで考えてください。
残日数が分からないとき
小規模事務所では、有給の管理台帳が整備されていないことがあります。
- 入職日
- これまでに取得した休みのうち有給として処理されたもの
を自分で整理して、事務所と突き合わせてください。給与明細に有給残日数が記載されていれば、それが手がかりになります。
買い取りについて
有給の買い取りは原則として認められていませんが、退職により消滅する分について事務所が任意で手当を支払うことは可能とされています。義務ではないため、規程になければ交渉事です。