人員に余裕のない事業所では、退職を伝えると強い引き止めに遭います。パターン別に整理します。
パターン1「担当している遺族が困る」
後任の確保は会社側の責任です。誠意を示す方法は、辞めないことではなく引き継ぎを丁寧に行うことです。
返答例: 「担当している施行の引き継ぎ資料は、後任の方が困らない形で必ず作成します。退職の意思は変わりません。」
パターン2「代わりが見つかるまで」
期限のない条件です。応じると退職時期が決まりません。
返答例: 「退職日は◯月◯日でお願いします。それまでに引き継ぎができるよう準備を進めます。」
パターン3「地元で働けなくなるぞ」
事実上の脅しにあたる発言です。退職は労働者の権利であり、これを理由に不利益を課すことは正当化されません。
このような発言があった場合は、日時と内容を記録に残してください。総合労働相談コーナーに相談する際の材料になります。
パターン4「資格の費用を返せ」
労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定したりする契約を禁止しています。ただし費用の返還請求が常に無効というわけではなく、貸付としての合意が明確にあるかなど個別の事情で判断されます。
署名した書面を確認し、実際に請求されたら労働基準監督署または弁護士に相談してください。
パターン5 待遇の改善を提示される
給与の引き上げ、当番の免除、内勤への異動などを提案されることがあります。
条件が改善されても、退職を考えた根本的な理由が解決するとは限りません。「なぜ辞めたいのか」を書き出して、それが解消されるかで判断してください。
深夜対応や休日出勤の負担は、人員が増えない限り根本的には変わらないことが多いものです。
引き止めに強い伝え方
- 「相談」ではなく「報告」の形にする — 「辞めようか迷っている」と言うと引き止めの余地を与えます
- 退職日を明示する — 「いずれ」ではなく「◯月◯日をもって」と具体的に伝えます
- 書面を出す — 口頭だけだと「聞いていない」と言われることがあります
それでも受け入れられない場合
退職届を内容証明郵便で法人の代表者宛に送ります。到達した時点で退職の意思表示は効力を生じます。