動物病院の引き継ぎは、継続治療中の症例と飼い主との関係が中心になります。

引き継ぎ資料に含めるもの

継続治療中の症例

  • 診断と現在の治療方針
  • 投薬の内容と経過
  • 次回の来院予定・検査予定
  • 治療への反応と副作用の有無

カルテに記載があっても、「なぜこの方針を選んだか」という判断の経緯は書かれていないことがあります。それを残すと後任が困りません。

飼い主に説明している内容

  • 予後についてどう伝えているか
  • 費用の見通しをどう説明しているか
  • 治療方針の選択で飼い主が迷っている点
  • 家族構成や介護の可否など、治療方針に影響する事情

飼い主への説明が引き継がれないと、後任が別の説明をして信頼を損ないます

院内の業務

  • 在庫管理の手順(薬品・フード・消耗品)
  • 検査機器の操作と保守の手順
  • 業者との連絡窓口
  • 予約管理のルール

自分だけが把握している手順がないか、洗い出してください。

個人情報の扱い

カルテの情報は個人情報を含みます。

  • 引き継ぎ資料は病院が指定する方法で作成・保管する
  • 個人のスマートフォンやPCにデータを残さない
  • 退職後に飼い主の連絡先を保有しない

退職後に転職先へ患者を誘導する目的で連絡先を持ち出すことは、契約違反になる可能性があります。雇用契約書や誓約書を確認してください。

引き継ぎの進め方

  1. 1 院長に引き継ぎの範囲と方法を確認する
  2. 2 継続治療中の症例を優先して資料化する
  3. 3 後任が決まったら口頭でも申し送る
  4. 4 可能であれば後任と一緒に診察に入る回を設ける

飼い主への挨拶

担当していた飼い主に退職を伝えるかどうかは、病院の方針に従います。独断で伝えると混乱を招きます。

伝える場合も、転職先を具体的に言うことは避けてください。患者の引き抜きと受け取られる可能性があります。

引き継ぎを理由に退職日を延ばされたら

「後任が見つかるまで」と言われることがありますが、後任の確保は病院側の責任です。退職の意思表示が到達していれば、期間の定めのない雇用契約は2週間の経過で終了します。

引き継ぎ資料を作成して渡すという形で誠意を示したうえで、退職日は予定どおり進めて問題ありません。